自治医科大学循環器内科 教授
苅尾 七臣
降圧薬の新しい概念
今日は選択的アルドステロンブロッカー、エプレレノンのお話をさせていただきたいと思います。このエプレレノンというのは、新規のカテゴリーの降圧薬であります。

エプレレノンは、アルドステロンの受容体をブロックする薬剤ですが、アルドステロンは、レニン・アンジオテンシン系の最下流に位置し、水やナトリウムの再吸収に関連するホルモンと考えられております。しかし、このアルドステロンは、血圧の上昇に加えて心、血管、腎臓、脳などに対して障害を直接引き起こすことが明らかにされてきております。したがって、高血圧やその臓器障害の抑制において、アルドステロンを直接ブロックすることが極めて重要になってまいります。エプレレノンはミネラロコルチコイド受容体に選択的に結合して、アルドステロンの作用を直接ブロックします。同系統の薬剤としてスピロノラクトンがあります。それもミネラロコルチコイド受容体に結合しますが、その選択性が低いために、副作用として性ホルモンの受容体と結合し、女性化乳房という頻度の多い副作用を引き起こします。この抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンに比べてエプレレノンは、約8倍も高いミネラロコルチコイド受容体に対する選択性を有しております。
したがって、副作用、特に男性における女性化乳房の発現頻度は、エプレレノンの場合は約0.5%と非常に少ない頻度になっており、これはプラセボとほとんど優位差はついておりません。一方、スピロノラクトンは、約9%近くが女性化乳房を男性において生じてくることが知られておりますから、この同じアルドステロンをブロックする作用を有しておりますけども、副作用の点においては、スピロノラクトンとエプレレノンは極めて大きく異なると言えます。
|