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<スズケンDIアワー> 平成19年10月4日放送内容より スズケン

抗アルドステロン高血圧治療薬 エプレレノン


自治医科大学循環器内科 教授
苅尾 七臣

icon 治療抵抗性高血圧への適応

 ここで私が推奨したい病態として治療抵抗性の高血圧があります。これは日本人においては塩分の過剰摂取によりもたらされる高血圧の頻度が非常に多いといわれていますが、そのような状況下では、アルドステロンの心血管リスクが非常に高まると考えられております。エプレレノンはそのような日本人にも適した薬剤であると考えられます。
 エプレレノンは、1日1回投与で24時間にわたる降圧が確かめられております。

    

抗アルドステロン薬の追加投与による降圧効果

 これまでの試験で、2剤以上の降圧薬を服用しているにも関わらず治療抵抗性を示す高血圧患者に、スピロノラクトンを投与した場合、収縮期で約20mmHg以上、拡張期で約10mmHg以上の低下が、高用量でなく少ない量でも有意に低下することが示されております。このようにアルドステロンをブロックするということは、例えば現在ファーストラインの薬でありますカルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARBなどのRA系抑制薬を加えて利尿薬を投与した場合、通常そこでかなりの患者において血圧レベルのコントロールは可能ですが、それでもうまいこといかない人が約5%あるいはそれ以上おられますが、その患者に遮断薬としてアルドステロン拮抗薬を投与することで明確な降圧と、厳格な降圧がもたらされることが期待されます。このようなことから、エプレレノンのもう一つの使い方として、治療抵抗性の高血圧治療を、これまでの通常の降圧薬治療を行った後に試してみるのは非常に有効な選択肢であろうと考えられます。
 ここでもう一つ、エプレレノンを投与して例えば血圧が下がったという患者は逆に言えば、その人の高血圧がアルドステロンに依存してもたらされているということになりますから、その場合は必ず原発性アルドステロンがその背景にないかということを除外しておく必要があります。もちろん原発性アルドステロンがなくても、治療抵抗性の高血圧の人にはこのエプレレノンは有効であるとされてはいますが、非常によく効いた場合には副腎のCT撮影や腹部エコーにより、副腎に腫瘍がないかどうか、原発性アルドステロンがないかを除外しておくことは必要ではないかと考えられます。

iconエプレレノン使用上の留意点

 エプレレノンは、製剤として今回日本で承認されたのは25mg、50mg、100mg製剤がございます。その投与法としては、成人には50mg/dayから投与を開始し、不十分な場合は100mg/dayまで増量することができるとなっておりますが、やはり新しい薬ですので少量から経過を見ていくのが良いだろうと思います。本剤の投与中に、カリウムが5mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し5.5mEq/Lを超えた場合は減量ないしは中止とし、6mEq/L以上の場合は直ちに中止することが明記されています、使用上の注意としては、アルドステロンを遮断すると、カリウムが上がることが一番注意しておく必要のある重篤な副作用となってまいります。したがって、カリウムの投与禁忌の患者すなわち高カリウムが5mEq/L以上の患者には投与は禁忌です。また、もう一つ重要なのは、高カリウムの副作用が出る集団というのは、微量アルブミン尿、蛋白尿を伴う糖尿病患者のカリウムが上がったということが報告されておりますから、微量アルブミン尿、または蛋白尿を伴う糖尿病患者の場合は、適用を禁忌となっております。
 したがって、糖尿病患者では、必ず微量アルブミン尿がないことを確認しなければいけません。また、中等度以上の腎障害、これはクレアチニンクリアランスで50mL/min未満の方になりますけども、この方でもカリウムが上がる可能性がありますから投与禁忌ということになります。また、当然のことながらカリウム製剤やカリウム保持性の他の利尿薬を投与中の患者は、投与してはいけません。また、イトラコナゾール、リトナビル、ネルフィナビルなどを投与中の人は相互作用があることが報告されておりますから投与しないことが重要になってきます。特にRAS系抑制薬との併用時には1週間以内、または1ヵ月以内にカリウムが上がっていないかどうか、新しく投与した場合はきちっとチェックすることが必要になってきます。このような副作用をきちんと認識しながら、心不全または心筋梗塞後、そして治療抵抗性の高血圧にこの新規の降圧薬を使用することにより、新たな心血管保護による降圧療法が達成できると考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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