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<スズケンDIアワー> 平成19年11月1日放送内容より スズケン

骨転移疼痛緩和治療薬 塩化ストロンチウム89


癌研有明病院 副院長
山下 孝

icon 塩化ストロンチウム89の臨床成績

 有効性の主要評価項目として、本剤の治療に対する反応者の割合(反応率)は、視覚アナログ尺度(VAS)による疼痛重症度と鎮痛薬使用量の変化の組み合わせで評価しています。
 反応者の割合(反応率)は(32/69例)で、疼痛緩和効果は投与1週後から認められ、少なくとも投与後12週間は維持されることが示されています。
 疼痛重症度の減少が40/69例で、鎮痛薬の減少が、27/69例でみられたことから、本剤は疼痛緩和のみならず、鎮痛薬の使用量減量にも寄与するものと考えられます。
 副作用は適応、禁忌で話しましたとおり、血小板減少症と白血球減少症などで重篤なものはありません。

icon 放射線の安全管理

 この治療法の特徴である、放射線安全管理についてお話します。

医薬安発第70号通知の規定の具体的な運用方法(患者・家族用)

 まず、施設管理についてですが、131Iのようなγ線を出す核種による治療は、実施されていますが、ストロンチウム89のような純β線放出核種を用いた治療は、国内で初めてでありますので、そのβ線の取扱いについて患者のみならず、家族,介護者、医療従事者に対する被ばくの防護の周知が必要です。いずれも医療法などで規定されているものです。詳しくは適正使用マニュアルに記載されています。
 塩化ストロンチウム89による治療を行う際には、各施設は89Srの核種の届出が必要です。また、使用場所は診療用放射性同位元素使用室あるいは放射線治療病室での使用が義務づけられており、貯蔵施設ならびに廃棄施設が必要です。すなわち、 核医学治療の施設があればできます。

医薬安発第70号通知の規定の具体的な運用方法(医療従事者用)

 管理法としては、被ばくの防護については3原則を守り防護具等の着用、汚染対策、遮へい対策、作業後はβ線を測定するための専用機器を用い汚染がないことの確認が必要です。尿などを絶対に舐めたり、触ったりしないことが重要です。
 実際にどの程度の外部被ばくかといいますと、一日30分程度を毎日抱っこされた子供の被ばく線量が0.338mSr/年で公衆被ばくの線量限度1mSr/年の数値をかなり下回ることがおわかりになるかと思います。したがって、家族を含め患者周囲の被ばく線量は問題にしなくてよさそうです。
 癌の骨転移の疼痛に対する副作用の少ない長期に効果がある治療法が新しく導入されることになったわけで、作成されている適正使用マニュアルを守って、痛みに悩むがん患者さんの福音になることを信じて私の説明を終わります。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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