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<スズケンDIアワー> 平成19年11月8日放送内容より スズケン

緑内障治療点眼薬 トラボプロスト


慶應義塾大学麻酔学 医長
中元 兼二

icon トラボブロストの眼圧下降効果

 次に、トラボプロストの眼圧下降効果について解説します。
 現時点では、トラボプロストに関する日本人の臨床報告はありません。ここでは、米国で行われた12ヶ月間の臨床試験について示します。
 本試験は、801例の開放隅角緑内障および高眼圧症患者を0.0015%トラボプロスト点眼群、0.004%トラボプロスト点眼群、ラタノプロスト点眼群、0.5%チモロール点眼群の4群に無作為に割り付け、投与後12ヶ月まで経過観察して、トラボプロストの長期的な眼圧下降効果および安全性について検討しています。

トラホプロストの眼圧の推移

 その結果、0.004%トラボプロスト点眼群は、12ヶ月間のすべての測定日においてチモロール点眼群より有意に眼圧が下降していました。ラタノプロスト点眼群と比較すると、治療開始後2週目において、0.004%トラボプロスト点眼群の方が,ラタノプロスト点眼群より,有意に眼圧が低いという結果でした。
 また、トラボプロストとラタノプロストの12ヶ月間の平均眼圧を測定時刻別に比較すると、午後4時において0.004%トラボプロスト点眼群の方がラタノプロスト点眼群より眼圧が有意に低いという結果でした。ただし、この結果は、黒人と白人とに分けて検討すると、白人では有意差はなく、黒人のみ有意差を認めており、このことからトラボプロストの眼圧下降効果には人種差がある可能性が指摘されています。

眼圧下降効果が良好であった症例の割合

 さらに、眼圧下降効果が良好であった症例の割合について調べてみると、0.004%トラボプロスト点眼群は、ラタノプロスト点眼群やチモロール点眼群より有意に多いという結果でした。
 これらの結果から、著者らは、0.004%トラボプロストの眼圧下降効果はチモロールより優れ、また、ラタノプロストと同等またはそれ以上であると結論づけています。
  つぎに、ラタノプロストの眼圧下降効果不十分例におけるトラボプロストの変更効果について示します。  

ラタノプロストの眼圧降下効果不十分例におけるトラボプロストの変更効果:改善状況

 Kabackらは、ラタノプロスト単独治療に成功しなかった原発開放隅角緑内障および高眼圧症患者488例に対してラタノプロストをトラボプロストに変更したところ、平均3.2mmHg眼圧が下降し、また、そのうち約8割の症例が1mmHg以上の眼圧下降を認めたと報告しています。トラボプロストは、ラタノプロストからの変更薬剤としても有用である可能性があります。
 ほかに、トラボプロストについて興味深い話題として、トラボプロストの眼圧下降効果の作用時間に関する報告があります。
 Dubinerらは、開放隅角緑内障21例に対して、トラボプロストを投与し、2週間治療後、点眼を中止し84時間までの眼圧を測定したところ、眼圧は84時間後も、治療前より有意な下降を示していたと報告しています。

トラボプロストトラタノプロストの点眼中止後44時間までの眼圧変化

 また、彼らは同時に開放隅角緑内障患者34例に、ラタノプロストまたはトラボプロストを点眼させ、2週間治療後、点眼を中止し、4時間間隔で44時間、眼圧を測定したところ、最終点眼から24時間後では、トラボプロスト点眼群の方がラタノプロスト点眼群より有意に眼圧が下降していたと報告しています。これに関しては、SitらやGarcia-Feijooらも同様の報告をしており、このラタノプロストを上回る、24時間を超える長い作用時間は、特に点眼コンプライアンスにおいて非常に有利であると考えます。
 併用薬剤としてのトラボプロストの眼圧下降効果については、0.5%チモロールとの併用の報告があります。これは、開放隅角緑内障および高眼圧症患者426例を対象とし、6ヶ月間観察した報告で、0.004%トラボプロストの併用により、眼圧は-5.7〜-7.2mmHg下降し、軽度の充血以外特に重篤な副作用はなかったとしています。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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