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<スズケンDIアワー> 平成19年11月15日放送内容より スズケン

エストラジオール ゲル製剤


東京女子医科大学産婦人科 主任教授
太田 博明

icon エストラジオールゲル剤の効能・効果

 本剤の効能・効果、すなわち、適応症は更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状、hot flushesおよび発汗であります。

第III相比較試験(有効性)

 この効能効果を検証したものとして、パッチ剤を対照薬として有効性の非劣性および安全性の優越性の検証を行った第V相比較試験の結果をお話します。各群1日hot flushesを8回以上認める症例をエントリーしましたが、2週間後には4〜5回に、また6週間以降2回以下に激減し、その効果はパッチ剤と同等でありました。またゲル剤に限って、hot flushes改善の程度を著明、中等度以上、軽度以上改善とすると、4週間では著明改善が25.0%、中等度以上改善が36.0%、軽度以上改善が80.0%と、1ヵ月の塗布で80.0%の改善効果を認めました。さらに8週間では著明改善が54.0%と半数以上に著明な改善が認められ、中等度以上の改善であると66.0%と2/3が、軽度以上の改善であると96.0%と、そのほとんどに改善が認められるという有効性が示されています。

全試験結果のまとめ(安全性・皮膚刺激性)

 もう一つ重要な安全性としての皮膚刺激の発現率については、8週間に亘るパッチ剤との比較ではパッチ剤が34.0%の皮膚刺激発現率なのに対し、ゲル剤では17.9%とほぼ半分でありました。なお、このゲル剤の皮膚刺激発現率の17.9%という値は全試験一定であり、一貫性、再現性が示されています。加えて、一年間に亘る長期投与においても26.3%と僅かな発現率の上昇は認めますが、刺激性においては長期投与においても有意な増加ではありませんでした。
 なおこれらの皮膚刺激性反応の詳細は、パッチ剤に比べてゲル剤の皮膚炎、紅斑、そう痒感がFisherの直接確率計算法にてp値0.016、0.007、0.008と有意に低値でありました。その他の主な副作用として、ゲル剤がパッチ剤より有意に多かったものはなく、逆に有意に少なかったものとして消化器系の腹部膨満感が認められました。なお、この理由における詳細は不明であります。  

icon エストラジオールゲル剤への期待

 本日のお話をまとめてみますと、更年期症状および卵巣欠落症状に対する有効性は、第II相用量認定試験におけるプラセボに対する優越性から、第II相比較試験における既存のパッチ剤に対する非劣性から、さらに第V相長期投与試験における52週間に亘る効果の持続から示されました。さらに安全性に関しては投与部位の皮膚刺激性は既存のエストラジオールパッチ剤よりも少なく、投与部位以外の副作用は既存類薬と同等でありました。加えて、52週間の長期投与において、皮膚刺激の発現率は比較試験結果と同程度で、投与期間に伴う副作用の発現の増加傾向は認められませんでした。

パッチ剤に対するゲル剤のメリット

 同じ経皮吸収型であるパッチ剤に対するゲル剤のメリットとしましては、皮膚刺激性が低減され、はがれるという心配はないこと、煩わしさ、不快さなどもないところにあるのではないかと思われます。
 このゲル剤は、既存の経皮吸収剤のもつメリットを維持し、かつ同等の有効性を有しながら、皮膚刺激性を低減させることを目的として開発され、このエストラジオールゲル剤は2007年7月現在、世界36カ国で承認され、その有効性、安全性は世界各国で広く検証されています。昨年の調査ではゲル剤の上市が1974年と30年以上の使用実績を有するフランスでは51.3%と、経口剤の32.1%、経皮剤の16.5%を凌駕しています。この普及がどのような理由によるものかについて今後検討する必要があろうかと思われます。しかしエストロゲンのゲル剤がわが国でも使用可能となり、個々のニーズにあったホルモン治療が可能となったことは個別的対応の必要性が強調されている昨今の医療界において選択肢の拡がりは大いなる福音と思われます。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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