→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成19年12月13日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全情報最近の話題(10)


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

icon 死亡症例から

死亡症例の概要等

 その概要として、死亡症例5症例の中の一症例として、70代男性、副作用名は発熱でした。既往歴・合併症は統合失調症、便秘、不眠症、パーキンソニズム、激越、インフルエンザワクチン接種。接種当日37.7℃の発熱あり。接種5日後、再び39.6℃の発熱。ジクロフェナクナトリウム坐剤使用。36.7℃に解熱。接種8日後、39.2℃の発熱。ジクロフェナクナトリウム坐剤使用。37.2℃まで解熱。接種10日後、40.6℃の発熱。アセトアミノフェン服用。同日、嘔吐あり。その後、死亡。と報告されました。検討会の検討結果では、接種当日及び接種5日後から発熱が続いており、接種10日後に死亡に至った症例ですが、発熱の原因及び死亡に至った状況等の詳細情報が得られておらず、情報不足のため、インフルエンザワクチン接種との因果関係は評価できないとしています。

icon 後遺症症例から

後遺症症例の概要

 次に、後遺症症例6症例の中の一症例としては、10代男性、副作用名:ギラン・バレー症候群、既往歴・合併症:なし、インフルエンザワクチン接種。接種6日後、右半身優位に筋力低下。感覚麻痺。ギラン・バレー症候群が発現。接種7日後、複視あり。接種9日後、両下肢の末梢神経伝達速度低下あり。接種12日後、ガンマグロブリン投与開始。数時間後より、筋力回復傾向、麻痺消失。接種16日後、頭痛のみ持続するが、麻痺消失。と報告されました。検討会の検討結果では、ワクチン接種6日後から神経症状が認められており、他に神経症状を発症する原因もないため、インフルエンザワクチン接種との因果関係は否定できないとしています。
 死亡症例及び後遺症症例について、ワクチン副反応検討会で検討した結果、新たな安全対策を講じる必要性は認められなかったとしています。
 なお、薬事法に基づく副作用報告とは別に、平成6年の予防接種法の改正に伴い実施されている予防接種後副反応報告制度があります。当該制度は、予防接種法に基づく予防接種を受けた被接種者の健康状況の変化について、予防接種実施要領に基づき情報を収集し広く国民に提供すること等を目的としたものです。報告対象は、定期接種対象者のみとしています。平成18年度のインフルエンザワクチン接種による副反応報告件数、これは因果関係の有無にかかわらない報告であり、これについては、総数26件、内訳は即時性全身反応がアナフィラキシー2件、他にけいれん2件、その他の神経障害1件、全身の発疹1件、39℃以上の発熱4件、その他の異常反応1件、基準外報告として局所反応(発赤腫脹)6件、全身反応として発熱等3件、その他6件の計15件でした。

icon ワクチン接種の留意点

インフルエンザワクチンで著しい健康被害が発生した場合

 平成18年度に報告されたインフルエンザワクチン接種による副作用について紹介しました。ワクチンは健康被害を防ぐ目的で接種されるのであり、これによって健康障害が生じることは大変残念なことです。これらの原因については良く解っていませんが、被害者の救済・補償が十分に行われる体制を整備するようにしていく必要があります。
 一方、まれに起こる健康障害が強調され過ぎて、ワクチンの有用性に対する一般の理解が後退し、ワクチンの恩恵を受けられなくなることも逆に残念なことです。ワクチン接種の際には、問診表に体調などを正しく記入し、発熱など体調が悪い時にはワクチン接種を避けるなど、医師と十分に相談して接種することが必要です。
 また、インフルエンザワクチンには微量ながら卵由来の成分が残存していますので、これらによって発赤やじん麻疹などの局所反応やアナフィラキシー・ショックが出現する可能性があります。卵アレルギーの人はワクチン接種を避けるか、注意して接種する必要がありますので、これも医師と相談することが大切です。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

前項へ 1 2 3