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<スズケンDIアワー> 平成20年1月3日放送内容より スズケン

第34回日本小児臨床薬理学会から


崇城大学薬学部薬物治療学 教授
松倉 誠

icon 教育講演から

 教育講演では小児医療における緩和ケアについて、2名の先生から講演いただきました。久留米大学医学部小児科の稲田浩子先生より「小児の緩和医療におけるトータルケア -薬物療法とチーム医療-」と題して、死を迎えつつある子どもへの小児科病棟における関わり方についてお話頂いた。子どもにおいても、苦痛を取り除くために、WHOの3段階除痛ラダーを適応し、モルヒネなどの使用も躊躇せずに行っているとの事でありました。何よりもこどものQOL(生活の質)に重点を置き、抗不安薬や抗うつ薬も用いるとの事でありました。もう一つの教育講演では、あおぞら診療所・新松戸の前田浩利先生に「小児在宅医療-我が国の小児在宅ケアの現状と課題について-」と題して講演をいただきました。3年間で53例の高度な医療的ケアを必要とする在宅小児例のケアの経験から、在宅医療の抱える問題点について示されました。小児が在宅で終末期を向かえる最大の意義としては、何よりも家族と過ごす時間を大切に出来ると言う一点にあると強調されました。小児が終末期を在宅で迎える為には、個別の医療機関や医師の努力のみではなく、社会的システムが必要であるが、その為の社会的資源が未だに全く貧弱であり、問題が山積していると指摘されました。

icon その他の話題について

 他に「新生児薬物治療の臨床試験を進めよう」と「チーム医療に貢献する薬剤師育成を目指して」の二つのシンポジウムも行いました。新生児薬物療法は臨床的に非常に重要であるにもかかわらず、病院間の薬物治療の具体的方法に大きな差がある事がわかり、臨床的エビデンスの蓄積が必要な事が分かりました。一方、臨床薬学教育については、4年制から6年制への教育年限の単純な延長に止まらず、チーム医療の中での薬剤師の果たせる役割の具体的内容についても討議されました。いわゆる職能、職業領域での変革を意識する事が、薬学教育上で重要だとの指摘でした。
 一般演題も例年と比較すると、2倍ほど集まり、テーマの「小児薬物療法の進歩・発展 -各専門領域での薬物療法-」に沿って領域毎に発表されました。

市民公開講座風景

 市民公開講座として「妊娠、授乳、赤ちゃんとくすり」と題して、カナダのトロント小児病院臨床薬理学部門の伊藤真也先生と田中敏博先生により、赤ちゃんに関する薬の相談システム、トロント市のマザーリスク(Motherisk http://www.motherisk.org/index.jsp)と呼ばれるシステムについてお話し頂きました。一般市民も含めた参加者から、具体的な質問も出され、熱の入った討論がなされました。
 最後に学会ボランティアとして活躍してもらいました崇城大学薬学部3年生の学生さん達に御礼を申し上げたいと存じます。来年度の第35回日本小児臨床薬理学会は、昭和大学病院薬剤部長の村山純一郎先生のお世話で、12月5、6日の2日間、東京・新宿にて日本臨床薬理学会との合同開催の予定です。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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