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<スズケンDIアワー> 平成20年1月10日放送内容より スズケン

添付文書の中の副作用(14)−偽アルドステロン症


帝京大学 名誉教授
清水 直容

icon 高血圧患者と低カリウム血症

主要臓器における11β-HSDの役割

 pseudoaldosteronism(偽のアルドシテロン症)のお話をもう少し致しますけれども、それは先ほど申しましたlicorice(グリチルリチン)によって起ることが分かりましてlicoriceが何を抑制してミネロコルチコイドの作用が増えるかと申しますと、腎臓ではハイロドコルチゾン(これはグルココルチコイドという人間にとっては同じ副腎から出る一番大事なステロイドですが)は代謝されますとコルチゾンという作用のないステロイドに変わります。それを変換させる酵素が11βHSD2(11βhydroxysteroid dehydrogenase2)で、これに対して甘草というグリチルリチンがそれを抑制的に働きます。そうしますとハイドロコルチゾンが増えてしまいます。ハイドロコルチゾンも鉱質ステロイド作用は少し持っていますので、遠位尿細管で増えますとそれが、鉱質ステロイドと同じような作用を示して、低カリウム血症で高血圧になるわけです。

ステロイド合成系

 高血圧の患者で、一番大事なことは低カリウム血症があるかを調べ、低カリウムの場合には、アルドステロン、それからレニン活性あるいは血中のレニン濃度のどちらでも結構ですが測定します。アルドステロンも低いし、レニンも低いという時には、この医薬品との因果関係をハッキリさせます。中止しますと非常に短い時間で、カリウムも少し正常化してまいりますし、血圧も下がってくるという病態です。日本でも高血圧患者さんというのは多いわけですが、そのうちでConn症候群原発性アルドステロン症という方は数%以上と言われております。そういうような方でアルドステロンが高ければ副腎の画像診断を実施し、腫瘍が見つかれば、それは手術で完全に治りますが、腫瘍がないのに低カリウム性の高血圧である場合には、先ほどから申しております漢方製剤あるいは生薬などにグリチルリチンが入っていないか、それからグリチルリチンそのものを肝臓への医薬品として使われている方も多いと思いますが、高血圧の患者で低カリウムがある時には、必ずレニンとアルドステロンを測定することが非常に大事であります。
 他にも低カリウムの高血圧を来たすものがいくつかあります。それは鉱質ステロイドというのはアルドステロンとハイドロコルチゾンだけではなく、その他にもデオキシコルチコステロンにも鉱質ステロイドの作用があるからです。
 今日は医薬品によるpseudoaldosteronism(偽アルドステロン症)についてお話しさせていただきました。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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