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<スズケンDIアワー> 平成20年1月17日放送内容より スズケン

持効型溶解インスリンアナログ製剤インスリンテデミル


順天堂大学内科学 教授
河盛 隆造

icon 2型糖尿病におけるインスリン療法

 2型糖尿病患者のインスリン療法において、グリコヘモグロビンを下げるためのポイントは大きく3つあると思います。一つは、機を逸することなく、インスリン導入を行うこと、もう一つは、必要十分量のインスリンを投与すること。そして、患者が医師やコメディカルスタッフの指示通りに治療できるよう、サポートすることです。
 2型糖尿病のインスリン療法にも、さまざまな選択肢があります。内因性インスリン分泌がどれだけ保持されているかによって選択が変ってきますが、インスリン分泌が高度に障害されている症例には毎食直前に超速効型インスリンを注射する、あるいはそれに眠前に持効型インスリンを加える、といった方法が必要になります。しかし、頻回の注射が不可能、あるいは嫌がる場合には、二相性アナログ製剤を1日1〜2回投与から始めてもいいでしょう。また、「注射はイヤだけど、1回だけならやります」という場合には、持効型インスリンの1回投与で導入してもよいと思います。 
 最近ではインスリン製剤も開発が進み、アナログ製剤が主流となっています。皮下注射後の血中インスリン動態を健常人に近付けることが可能になってきておりますので、インスリン療法に生活を合わせるのではなく、生活にインスリン療法を合わせることもできるのです。
 今回、お話しているデテミルは持続作用発揮型インスリンですから、超速効型と組み合わせて、24時間にわたるインスリン補充療法の基礎薬として、また、デテミル単剤による1日1回投与まで、病態の異なる患者に幅広く使用できると思います。

icon 既存のベーサルインスリンの問題点 

 現状の基礎インスリン補填薬としては中間型インスリンのカテゴリーに入るNPH製剤をお使いの先生が多いと思いますが、NPH製剤は注射後数時間に作用のピークがあります。このため、眠前に充分量投与した場合、このピークのために夜間に低血糖となる危惧があります。夜間の低血糖は反応性に種々のインスリン拮抗ホルモンの分泌を引き起こすこととなり、朝食前血糖値が上昇します。この血糖値を下げようと眠前の投与量を増やすと、さらに夜間の低血糖が起こる、という悪循環を形成する恐れがあります。また、NPH製剤は懸濁製剤でしたから、投与前に薬液を均一に混和する必要があるという煩雑さもあります。これらの問題点を克服するためにインスリンアナログの開発が行われてまいりました。

icon インスリン デテミルの特徴 

 そしてデテミルが登場しました。

新しい持効型溶解インスリンアナログ

 ヒトインスリン分子のB鎖30位のスレオニンを除去し、脂肪酸であるミリスチン酸を付加したことから、デテミルと命名されています。注入器としては、現在日本で汎用されているフレックスペンと、カートリッジ製剤もあります。

インスリンテデミルは夜間低血糖のリスクが少なく

 国内の第III相臨床試験は、NPH製剤を対照薬として実施されました。1型糖尿病患者におけるベーサルボーラス療法において、デテミルはNPH製剤と比較して、空腹時血糖値も低下させていました。にもかかわらず夜間低血糖リスクを有意に減らしております。
 デテミルは、「血糖降下作用が長い」「夜間低血糖が少ない」「空腹時血糖値を下げる」「血糖降下作用が安定している」という製剤的な特徴を有し、さらに「注入機が使いやすい」という特徴があります。こうした新しいインスリン製剤を効果的に使用すれば、血糖コントロールのために積極的に治療することが可能になります。
 いままでは糖尿病治療にご興味のある先生方だけが、種々のインスリンアナログ製剤を駆使して、「決して血管障害を悪化させない」と治療に取り組んでおられます。しかし、今、一例の2型糖尿病も診ていない、という医師は日本中にいない、と思われます。具体的には、SU薬、それにα-グルコシダーゼ阻害薬、さらにメトホルミンなどを用いているのにグリコヘモグロビンが7.5%以下に低下する傾向が見られない場合には、経口薬を残したまま、1日1回、4〜6単位のデテミル注射を外来診療で開始する、そして最初はまめに、朝食前血糖値やグリコアルブミンなどを指標に、徐々にインスリン投与量を増量していく、朝食前血糖値が110mg/dL内外にまで低下してきたら、次は食後高血糖をも是正すべく薬剤を工夫する。このような方法が実際的と思います。まず、あらゆる医師にインスリン治療の威力を実感していただきたく思います。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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