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<スズケンDIアワー> 平成20年1月24日放送内容より スズケン

維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療薬シナカルセト塩酸塩


秀和綜合病院 副院長
塚本 雄介

icon 二次性副甲状腺機能亢進症の発症機序

 副甲状腺ホルモンは先ほど述べましたように、腎臓と骨に働きかけて血液中のカルシウム濃度を上昇させる働きがあるわけですが、腎臓の機能が低下してきますと、副甲状腺ホルモンの作用が現われにくくなってきます。特に透析に移行しますと腎機能がゼロになりますので、副甲状腺ホルモンの働きはまったく腎臓で行われません。従って、血液中のカルシウム濃度は減少し、リンの濃度が増加していくという形になります。これを補正するためにさらに副甲状腺ホルモンが副甲状腺から分泌されることになるわけですが、それに対して腎臓は反応しません。従ってどんどん副甲状腺ホルモンが分泌されていくと、次第に副甲状腺の腺そのものが肥大し過形成を起こしていきます。
 これまで、二次性副甲状腺機能亢進症に対して、種々の薬剤が使用されてきました。その代表的なものが活性型ビタミンD3製剤です。現在では、経口剤だけでなく、静注剤もあり、かなり重症の副甲状腺機能亢進症にも対応が可能になってきました。しかしながら、こうした活性型ビタミンD3製剤の治療上の限界としては血清カルシウム濃度を増加させてしまうということです。
 二次性副甲状腺機能亢進症が重症化してきますと、活性型ビタミンD製剤を投与しても血清カルシウム値が増加しすぎてしまうという欠点があります。PTH(副甲状腺ホルモン濃度)は十分に抑制が効かないけれどもカルシウムだけ、または血清のリン濃度が増加しすぎてしまうために、これ以上PTHを抑制できない。また、高カルシウム血症が日常化してしまう。そういうことに臨床上よく遭遇してまいります。従って、このような場合には、副甲状腺を摘出したり、エタノールを副甲状腺に注入する等の、内科的でない治療法が必要になってきます。

icon シナカルセト塩酸塩の特徴

 そこで開発されたのがこの薬剤です。シナカルセト塩酸塩の特徴は、副甲状腺のカルシウム受容体に作用して、あたかもカルシウムが増加したような作用を副甲状腺に与えます。従って血液中のカルシウムイオン濃度が減少すると共に、副甲状腺ホルモンの分泌も抑制されるということが可能となりました。
 このシナカルセト塩酸塩の投与法について解説したいと思います。この薬剤は経口投与剤で1錠が25mgと75mgが発売されております。投与法は食事とは無関係で、食後でも食前でもその効果及び副作用には差がないということが証明されていますので、どのタイミングで投与してもかまいません。まず1日1回25mgから開始し次に効果がなければ50mg、そして75mgまで増量いたします。また、PTHの改善が認められない場合には、1回100mgを上限として増量することができますが、この増量は3週間以上の間隔を空けて行ってください。
 本剤の投与で最も注意しなければならないのが、血中のカルシウム濃度です。血中のカルシウム濃度を9mg/dL以上を確認してから投与を開始してください。これ以下で投与を開始いたしますと、早期に低カルシウム血症を生じ危険性が生じます。そして、投薬開始後、血清カルシウム値が8.4mg/dL以下に低下した場合、併用薬である活性型ビタミンD製剤やカルシウム製剤を増量して、これ以上血清カルシウム値が低下しないように対処します。もし、血清のカルシウム濃度が7.5mg/dL以下になった場合には、直ちに休薬してください。
 この薬剤は活性型ビタミンD製剤、あるいはカルシウム製剤と併用するのが基本と考えられます。静注の活性型ビタミンD製剤を投与しつつ、これによって増加する血清カルシウム濃度を、このシナカルセト塩酸塩を用いてカルシウムとさらにPTHも抑制する併用効果がとても期待される薬剤です。

 

提供 : 株式会社スズケン


    
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