→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成20年1月31日放送内容より スズケン

ムコ多糖症治療薬イデュルスルファーゼ


国立成育医療センター 臨床検査部長
奥山 虎之

icon イデュルスルファーゼの特徴

 本日ご紹介しますお薬はイデュルスルファーゼ(商品名:エラプレース点滴静注薬)です。これはムコ多糖症II型、ハンター症候群という日本での症例が約100〜200人くらいしか報告されてないきわめて稀な疾患の治療薬です。
 このムコ多糖症II型とはどのような病気かと申しますと、ムコ多糖というのは体の構成成分の中で比較的重要な物質ですが、これが合成と分解を繰り返しています。その中の分解、すなわち体内でいらなくなったムコ多糖を分解するためには、いくつかの酵素が必要ですが、この酵素のひとつのイズロネート2サルファターゼ(これがそもそもイデュルスルファーゼそのものですが)の先天的欠損によって発症する遺伝性疾患です。
 このイズルスルファーゼとは、この酵素タンパクそのもので、欠損している酵素を体内に補うという治療法です。このような治療法を酵素補充療法と呼び、これまで有効な治療手段がほとんどなかったムコ多糖症、ファブリー病、ポンペ病などの、いわゆるライソゾーム蓄積症と呼ばれるものの新しい治療薬として注目されております。このイデュルスルファーゼの他にわが国では、ゴーシエ病のセレデース、ファブリー病のファブラザイム、リプラガル、ポンペ病のマイオザイム、ムコ多糖症I型のアウドラザイムの酵素補充療法が現在承認・販売されています。
 さらにムコ多糖症VI型のナグラザイムという酵素補充療製剤も、この春から夏にかけて承認が得られるのではないかという見通しが立っております。それでは、この病気の簡単な説明をさせていただきます。

icon ムコ多糖症の分類

 ムコ多糖は、別名グリコサミノグリカンとも呼ばれております。

グリコサミノグルカンの蓄積

 細胞内にグリコサミノグリカンが溜るメカニズムは以下のようになっています。
 すなわち、グリコサミノグリカンは細胞内のライソゾームという細胞内小器官の中にある約10種類の異なった酵素(加水分解酵素)により分解します。
 ムコ多糖症II型の場合は、このライソゾーム酵素のうちのイズロネート2サルファターゼが生まれつき欠損しているのですが、そうするとこのグリコサミノグリカンの分解が途中で止まってしまいライソゾームの中に、この中間代謝産物すなわ分解が途中で止まった物質がどんどん溜ってくることになります。そうするとライソゾームが腫大し、細胞内をライソゾームが埋め尽くす形になり、これが原因になって細胞全体の機能不全を引き起こすということが、この病気の成り立ちです。

ムコ多糖症の分類

 それではムコ多糖症全体についてご説明します。先ほど、ムコ多糖症を分解するためには約10種類の酵素が必要であると申しましたが、欠損している酵素の違いによって、7つの病型に分けられます。病型は分けられますが、関節が硬くなる関節拘縮、肝臓・脾臓が大きくなる肝臓脾臓の腫大、骨が変形する、鼠径ヘルニアや臍ヘルニアなどの症状など、それらはすべて病型にかかわらず同じように見られる共通の症状ですが、一部、病型ごとに異なるものがあります。たとえばI型で見られる角膜混濁がII型では見られない、あるいは通常、ムコ多糖症では関節が拘縮し動きが悪くなるのですが、IV型の場合、別名モルキオ病と呼ばれますが、むしろ関節がグラグラになる、よく動くようになる、あるいはよく動きすぎて関節が維持できないという特徴があります。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

1 2 3 次項へ