国立成育医療センター 臨床検査部長
奥山 虎之
海外での臨床試験成績
ムコ多糖症のII型の話に戻りますが、ムコ多糖症は全身性疾患で体のいろいろな部分に症状が出ます。
一般的な特徴としては、低身長、骨格の異常、関節のこわばり、肝臓・脾臓の腫大、ヘルニアなどがあり、特徴的な顔貌というのもあります。呼吸器としては閉塞性の呼吸障害が主に出てきます。心臓に関しては僧房弁及び大動脈弁の閉鎖不全、そして引き続き心不全をきたすことになります。
それから神経系の問題としては精神発達遅滞あるいは退行という現象が起きてきます。
ムコ多糖症II型の場合、軽症から重症型まで、さまざまな症状の違いがあります。軽症型といわれるのは比較的寿命も長く、正常な知能を維持しているタイプです。これに対して重症型というのは知的障害が出てきて、推定寿命も10〜15歳で、若くして亡くなってしまうものまであります。また、その中間に位置するものも多数、報告されています。
ムコ多糖症II型はX染色体劣性遺伝という遺伝形式を呈し、ほぼ男性のみ発症します。通常、母親が保因者となり、男の子の50%で発症することになります。
欧米で行われた臨床試験の結果をお話します。5歳〜30歳までの知的障害を伴わず、呼吸状態に問題がある96症例が、この臨床試験に選ばれました。そのうち32症例には、イデュルスルファーゼ体重1kgあたり0.5mgを毎週投与、次の32症例には2週間に1回、そして残りの32症例には完全なプラセボを52週間投与され、その違いを検討いたしました。
尿中グリコサミノグリカンの排泄量は急激に低下をしておりますが、これはプラセボではまったく見ることができません。
肝臓容積もムコ多糖の消失に伴い、肝臓サイズが急速に正常化していることが毎週投与群では示されております。そのような結果をもってイデュルスルファーゼは欧米においては2006年6月に承認されました。日本では2007年の初めに承認申請が行われ、2007年10月に承認されております。なお、日本では新たな承認試験を行うことなく、欧米の治験データによる迅速審査が行われ、承認を得ております。
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