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<スズケンDIアワー> 平成20年1月31日放送内容より スズケン

ムコ多糖症治療薬イデュルスルファーゼ


国立成育医療センター 臨床検査部長
奥山 虎之

icon イデュルスルファーゼ:今後の課題

 このようにムコ多糖症II型の薬は現在約50名〜60名の患者に使われ始めておりますが、問題がないわけではありません。先ほども述べましたように、イデュルスルファーゼの臨床開発においては日本での臨床試験は行われませんでした。これは日本人患者での有効性・安全性の評価がなされていないことを示しています。この問題を解決するために厚生労働省は、同薬での承認条件として全例で10年間の詳細な製造販売後調査を製薬会社に義務づけております。すなわち有効性、安全性の評価を行うための長期フォローアップと臨床研究が必要なことを示しているわけです。また、酵素補充療法以前に日本では、この相当数のムコ多糖症II型の患者さんは骨髄移植治療を受けていますが、この骨髄移植と酵素補充療法の比較、あるいは併用の可能性に関する研究も今後の課題です。さらに酵素補充療法は、精神運動発達遅滞や退行などの中枢神経系の進行を止めることができないとされております。これは高分子であります酵素が血液脳関門を越えて脳内に入っていくことは、ほぼ不可能であると考えられているからです。現在ムコ多糖症II型の場合、7割の方が、この重症型、精神運動発達遅滞、あるいは退行を伴う重症型といわれておりますので、この7割の方のための治療法が今後の課題と言えます。
 現在、酵素の髄液内への投与などの治療法(脳に直接入れる治療法)が米国で開発・研究されているということです。将来的にはこの中枢神経症状の有効な治療法が開発されれば、中枢神経症状を有する患者さんにもより有益な治療となりますが、酵素製剤の現状におきましては中枢神経症状のないムコ多糖症II型の患者さんにおいて非常に優れた薬であると言えるかもしれません。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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