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<スズケンDIアワー> 平成20年2月7日放送内容より スズケン

DI実例集:漢方薬−漢方薬の基礎知識


東京女子医科大学病院薬剤部 副師長
内田 智美

icon はじめに

 漢方は、わが国に古くから伝わる伝統医学である。昭和51年に漢方薬が医療用として保険収載されて以来、医療用漢方薬は徐々に定着し、現在では7割以上の医師が日常的に用いているといわれている。
 漢方薬は数種類の生薬を組み合わせた薬剤であり、それらの生薬による複合効果が薬効として用いられている。漢方薬は副作用があまりないように思われていることも多いが、生薬の含有成分に由来している薬理作用は科学的に解明されているものが多く、それらの成分が原因として起こりうる副作用も明らかにされている。本日は、漢方薬の診断概念と副作用・相互作用、妊婦・妊娠の可能性のある婦人・授乳婦への投与などの使用上の注意について紹介する。

icon 「証」とは何か

 漢方医学で重要な診断的概念の一つが「証」である。漢方の証は、ある病的状態に際して出現する複数の症状の統一概念である。

体質からみた虚実

 証診断の一つに「虚実」がある。本来の意味は病気になった時、これを跳ね返す力が強く発揮されているか、いないかといった診断が実と虚の診断となるが、健康な状態での体質を分類する時にも虚実を用いる場合がある。

陰陽の臨床例

 また、「陰陽」という概念があるが、陰と陽は対立する概念であり、陰とは寒、冷、湿、受動性、消極的、潜性など全身的代謝の衰えた状態を表し、陽とは熱、温、乾、能動性、積極性、顕性など全身的代謝の盛んなものを表す。陰陽は、新陳代謝の状態を表現するパラメータとも言える。
 「気・血・水」は漢方における仮想的病因論であり、平生の体質と罹患時の変化が論じられている日本で生まれた漢方概念である。病気の原因の一つは体内を流れ、また構成している気血水の異常によるものと考えられている。気血水はともに体内を循環しており、それぞれがうっ滞、偏在することで様々な障害や疾患を引き起こすとされている。「気」は働きがあり、形のないものとされており、呼吸機能・電気的エネルギー・神経・遺伝的物質などを言う。「血」は、現象的には血流のことであり、気とともに全身を巡り、各臓器に栄養を与えるものである。「水」とは血液以外の体液一般を指し、水の偏在の異常を水毒と称する。
 実際の臨床で漢方的な経験則として、患者の体質が「虚」か「実」か判断しがたい場合は、「虚」として治療を行ない、「陰陽」が判別しがたい場合、高齢者は「陰」、若年者は「陽」として治療を行っている。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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