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<スズケンDIアワー> 平成20年2月7日放送内容より スズケン

DI実例集:漢方薬−漢方薬の基礎知識


東京女子医科大学病院薬剤部 副師長
内田 智美

icon 漢方製剤の妊婦、産婦、授乳婦などへの投与

 妊娠中の漢方薬の投与に関する安全性は確立していないので、投与する場合は慎重に行う必要があり、妊娠初期は必要最小限とすることが望ましい。
また、妊娠中または妊娠している可能性のあるときは、投与しないことが望ましいとされる生薬は次のとおりである。 
 大黄は子宮収縮作用および骨盤内臓器の充血作用を有する。大黄を含む漢方薬には、大黄甘草湯、調胃承気湯、大承気湯、桃核承気湯、麻子仁丸、大黄牡丹皮湯、潤腸湯、防風通聖散、通導散、桂枝加芍薬大黄湯などがある。
 芒硝には子宮収縮作用があり、桃仁、牡丹皮、紅花および牛膝は流早産の危険性がある。桃仁、牡丹皮を含む駆血剤には、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、通導散などがある。
 附子は副作用が現れやすくなるので注意が必要で、附子を含む漢方薬には、真武湯、桂枝加朮附湯、八味地黄丸、牛車腎気丸、大防風湯、ブシ末などがある。
 麻黄のエフェドリンは胎盤を通過すると考えられているので、胎児心拍は増加する可能性が示唆される。麻黄を含む漢方薬には、葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、五虎湯、神秘湯、越婢加朮湯、苡仁湯などがある。
 授乳中の漢方薬の投与としては、大黄を含む漢方製剤は大黄の含有成分であるアントラキノン誘導体が母乳中へ移行し、乳児に下痢を起こすことがあるので慎重に投与する。麻黄を含む漢方製剤も慎重に投与する。

icon おわりに

 漢方薬でも「大建中湯」のようにevidence-based-medicine(EBM)に基づく検討がなされている方剤があるが、まだまだEBMに基づいた研究は少なく、今後、多くの研究がなされることが期待される。現在では、漢方薬と西洋薬が同時に処方されることが多く、胃酸や腸内細菌の影響も十分に考慮すべき点と思われる。漢方に関して、「副作用がない」などと誤った印象を持つ患者もいることを十分に把握して、漢方薬に関する理解を深めていただければ幸いである。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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