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<スズケンDIアワー> 平成20年2月28日放送内容より スズケン

注意欠陥/多動性障害治療薬 徐放型塩酸メチルフェニデート


東京都立梅が丘病院精神科 医長
山田 佐登留

icon 注意欠陥/多動性障害とは

 注意欠陥/多動性障害(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder:AD/HD)の症状はかなり古くから知られていましたが、とくに臨床家の注目を集めたのは1910年代に流行した脳炎の後遺症として、行動、情緒、認知能力に重大な異常を示した子どもたちの存在でした。ところがその後、脳炎の既往がなくても同様の症状を呈する患児が一定の割合で出現し続けたことから、何らかの別の器質的原因が推定され、さまざまな研究が試みられましたが、結局、粗大な脳の障害は発見されず、具体的な証拠が得られないままに微細脳機能障害(Minimal Brain Dysfunction:MBD)の概念が提唱されることになりました。しかし、MBDの概念も間もなく用いられなくなり、多動、衝動、過剰な活動といったより具体的な症状に基づいた操作的診断基準を確立しようという動きが活発化しました。米国精神医療協会の診断基準(DSM)では第2版から多動が記され、第3版から注意欠陥障害が診断に載せられ、多動の有無で下位分類され、現行の第4版では注意欠陥多動性障害とされています。一方WHOの国際疾病分類ICDでは、現行の第10版では多動性障害とされています。こうした流れとともに、アンフェタミン製剤をはじめとした中枢神経刺激薬がこれらの症状を改善することも報告され、生物学的な原因を特定することよりも、症状に主眼をおいた操作的診断をもとに治療を行うという、今日に通じる考え方が支配的となってきました。
 今日では、画像研究や遺伝子研究の進歩を背景に、前頭前野の機能低下によるドーパミン系神経伝達物質経路の障害などが原因として示唆されていますが、まだ決定的な原因についてはわかっていないのが現状です。AD/HDの診断には、通常、DSM-WまたはICD-10の診断基準が用いられますが、両者の基準には若干の相違がみられます。DSM-Wでは多動性が認められない場合でもAD/HDの診断は可能ですが、ICD-10では、不注意、過活動、衝動性の3つがそろっていることが前提とされています。とはいえ、両者とも記述される症状自体にはほとんど相違はなく、臨床的にはどちらの診断基準を用いてもまったく問題はありません。

 

提供 : 株式会社スズケン



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