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<スズケンDIアワー> 平成20年2月28日放送内容より スズケン

注意欠陥/多動性障害治療薬 徐放型塩酸メチルフェニデート


東京都立梅が丘病院精神科 医長
山田 佐登留

icon AD/HDの診断

経過と予後

 むしろ、注意すべきことは、これらのマニュアルを用いれば誰にでも診断が可能というわけではないという点です。たとえば大人との一対一の面接では、子どもの症状が顕著に現れないことが多く、それだけで診断を下すことはできません。家族や学校などからの客観的な情報の収集は不可欠ですし、またAD/HDの症状は複数場面で観察されるものでなければなりません。たとえば特定の授業時間あるいは特定の教師に対してだけ症状が現れているだけで診断することはできません。また、今日の操作的診断では広汎性発達障害が除外診断となっている点にも注意が必要です。自閉症やアスペルガー障害などの広汎性発達障害では、しばしばAD/HDと同様の症状がみられますが、DSM-Wの基準によれば、広汎性発達障害がある場合はAD/HDの診断は除外され、両者の症状が併せてみられる場合には広汎性発達障害の診断を優先させることになっています。広汎性発達障害の症状は必ずしも明確に現れるとはいえないため、臨床家には発達障害を見落とさないだけの知識と経験が必須であるといえます。実際、小学校の低学年では授業中に教室内を立ち歩く子どもがクラスに一人か二人はいるものですが、学年が上がるにしたがってキョロキョロとよそ見をするなどの行動に変わっていくことがあります。そうした例では、成長とともに授業中の立ち歩きのような多動がおさまって、それまでマスクされていた広汎性発達障害の存在が明らかになることも少なくありません。さらには、少数例ながら、継続的に虐待を受けた症例が同様の症状を示すこともあります。しかし、逆にAD/HDの症状が親の虐待を誘発していると考えられる場合もありますので、こうした問題を明確にするためにも、診断に際しては、家族や学校、周囲の様子を的確にチェックし、複数の人々からの情報を聴取することが大切なのです。

icon AD/HDの治療

 治療に際して最も大切なのは、本人がおかれた状況を十分に理解したうえで対策を考えることであるといってよいでしょう。基本的には何よりも本人にとってのプラスとなる行動を伸ばし、自己評価や自信を高めていくこと、たとえばすぐに手を出してしまうといった衝動的な行動をできるだけ言語化させる訓練などが治療的に重要な意味を持ちます。

AD/HDの薬物治療

 AD/HDの治療は、あくまでも精神療法、行動療法、ペアレントトレーニングを含めた家族や学校に対するアドバイスを中心に考えるべきですが、とくに多動、集中困難、衝動性といった不適応のレベルが強く、本人や周囲がより困難な状況におかれている患児に対しては、従来より補助的に薬物療法が行われてきました。薬剤としては、注意集中の改善、多動や衝動性の改善を目的としたメチルフェニデートなどの中枢神経系刺激薬、強度の多動や衝動性の改善を目標としたハロペリドールやリスペリドンなどの抗精神病薬、抑うつ症状や強迫症状を合併している場合のイミプラミンやSSRIなどの抗うつ薬などが挙げられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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