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<スズケンDIアワー> 平成20年3月20日放送内容より スズケン

非小細胞肺癌治療薬 エルロチニブ


東京医科大学病院 呼吸器外科 准教授
坪井 正博

icon エルロチニブとは

 今日は非小細胞肺癌に対する新しい分子量的治療薬エルロチニブについて、みなさんにご紹介したいと思います。エルロチニブの概要と臨床成績そしてこのお薬のガイドラインにおける位置づけについて主に述べていきたいと思います。

エルロチニブとは

 エルロチニブは小分子化合物で上皮成長因子受容体、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤EGFRTKIと略されますが、これを標的とした小分子化合物であります。2007年6月に米国・スイス・カナダ・EUなどで承認を経て同年12月に日本でも薬価収載されました。
 効能・効果は切除不能な再発・進行肺癌で、化学療法施行後に増悪した場合の症例を対象にしてこのお薬を使うことが保険では承認されております。一次治療としての本剤の効果もしくは術後補助化学療法としての効果についてはいまだ効果・安全性とも確立していませんので、これらの使用については十分考慮されるべきであろうと思います。
 エルロチニブの用法・用量としては150mg1錠を食事の1時間前もしくは食事後2時間以降に1日1回経口投与するとなっています。食後ではなくて空腹時、食事の前、食事の後に少しおなかが空いたときに服用するお薬であることに留意していただければと思います。後述しますが皮疹もしくは下痢といった副作用により、用量を変更しなければいけない場合がありますが、この場合は50mgずつ減量するのが原則となっています。

icon エルロチニブの臨床試験成績について

 エルロチニブの臨床成績についてお話したいと思います。

非小細胞肺癌に対するエルロチニブの主な臨床試験成績

 今まである大きな臨床試験は2ndライン、3rdラインの単剤投与、1stラインの化学療法との併用試験が行われています。海外では第III相試験でBR.21というのはもう耳にされたことがあるかと思いますが、2ndライン、3rdラインでベストサポーティブケアとの比較試験においてエルロチニブを使用したほうが有利な生存期間の延長が認められたという報告です。そして日本では第II相試験として行われ、百数例の患者さんに対してエルロチニブの有効性、認容性が認められています。化学療法との併用について、1stラインで臨床試験が行われ、カルボプラチン、パクリタキセルもしくはシスタチン、ゲムシタビンとの併用において上乗せ効果が認められなかったことが報告されております。
 BR.21試験について再度ご説明しますと、この試験は1レジメン以上の化学療法を施行したIIIB期/IV期の非小細胞癌を対象にエルロチニブ150mg連日投与とプラセボ連日投与の比較した試験で、症例数は488例対240例で2対1にランドマイズされて、約700例規模の患者さんが集められています。

BR21試験:全生存期間

 この試験の結果、全生存で見ますと生存期間の中央値をエルロチニブを使うことによって、42.5%改善することが分かりました。具体的にはMSTで生存期間の中央値においてエルロチニブは6.7ヶ月、プラセボは4.7ヶ月。一年生存率においては31.2%に対して21.5%と有為にエルロチニブの使用によって生存期間の延長していることが示されました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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