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<スズケンDIアワー> 平成20年3月20日放送内容より スズケン

非小細胞肺癌治療薬 エルロチニブ


東京医科大学病院 呼吸器外科 准教授
坪井 正博

icon エルロチニブの抗腫瘍効果

 抗腫瘍効果はゲフィチニブと同様に性別では女性、組織系では線癌、人種でははアジア人、喫煙歴では喫煙歴のない患者さんに有意にエルロチニブの効果があることが分かっています。しかしながら、BR.21のサブ解析を見てみますと男性、喫煙者、扁平異常器官の患者さんにおいてもハザードが0.66有意さを持っており、エルロチニブを使用することによって生存が延長されることが示されています。これはサブ解析ですので、結論づけたことは言えませんが、エルロチニブが男性あるいは喫煙者においても効果を示す可能性が高いと考えられます。これらの患者さんにおいては肺障害のリスクはありますが、そのリスクとベネフィットを十分患者さんにお話したうえで使用を検討しても良かろうと考えます。

エルロチニブの抗腫瘍効果

 エルロチニブの効果を総効率と病性コントロール率で見ますと、日本においてはエルロチニブの総効率は28.3%でゲフィチニブとほぼ同等です。また、病性コントロール率も50%と海外よりも若干良好なデータとなっています。これらのデータはゲフィチニブとほぼ同等で、アジアの成績を見ても25%〜30%弱という総効率を示していますのでゲフィチニブと同様エルロチニブもアジア人のお薬として考えられるのではないかと思います。

icon エルロチニブ投与の留意点

 有害事象について見ますと、国内の第II相試験の結果から、発疹が92%、下痢が72%とゲフィチニブと比してやや多い傾向にあるように認められますが、副作用のプロファイル自体は大きく変わりません。従って皮膚の症状や下痢の症状あるいは肝機能障害、食欲不振といった副作用の種類は変わりませんし、もちろん肺障害もこの薬剤でも起こることが示されています。肺障害の頻度は5%前後で、ゲフィチニブより若干データ上は低いように見えますがII相試験が行われたときにすでにわれわれはゲフィチニブの経験があり、症例選択が行われていたという背景を考えますと肺障害については、ほぼ同じような頻度で起こるのではないかと考えられます。副作用の面から生存期間の関係を見ますとBR.21試験においては発疹のグレードが上がれば上がるほど生存期間の中央値は延長することが示されています。グレード1の皮膚障害もしくは皮膚障害のない患者さんに比べ、グレード2、3の患者さんにおいて生存期間の中央値は約2倍延長しています。グレード3、4もしくは2のデータが11ヶ月前後に対し、グレード1の患者さんでは7ヶ月となっております。
 エルロチニブの特徴的なところはゲフィチニブに比して用量の調整が可能というところにあります。エルロチニブの剤形は25mg、100mg、150mgとあり、前述のように150mgを投与して、副作用が強い場合においては50mgずつの減量を行うことによって治療効果を継続して見ることができると考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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