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<スズケンDIアワー> 平成20年3月20日放送内容より スズケン

非小細胞肺癌治療薬 エルロチニブ


東京医科大学病院 呼吸器外科 准教授
坪井 正博

icon ガイドラインにおける位置づけ

 最後にガイドラインの位置づけについてご報告します。

手術不能・進行非細胞肺がん二次治療のガイドライン

 ガイドラインにおいては海外ではエルロチニブは二次治療・三次治療の標準的な治療薬の一つとして報告がなされています。しかし、日本のガイドラインの記載においては2ndラインの治療はドセタキセルで行うよう勧められるグレードBとなっています。本剤のような上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤の投与は勧めるだけの根拠は明確ではないとなっています。この理由はゲフィチニブのデータとの整合性がとれていない、あるいはゲフィチニブのデータもエルロチニブのデータもまだ不十分であるというところから、この状況になっております。従って、エルロチニブ投与においてはだ副作用と効果について患者さんに十分なインフォームドコンセントを行って投与する必要があろうかと思います。今後はエルロチニブの臨床試験あるいはゲフィチニブの第III相試験がでてくることによって、ガイドラインの位置づけというのが変わってくると思いますので、色々な情報を整理されたら良いかと思います。エルロチニブはゲフィチニブに比して薬物動態上、約3倍程度強いと言われております。これはC-maxあるいはAUCのデータからエルロチニブ150mgはゲフィチニブの700mg相当に値すると言われており、副作用の面から見ますとこのリッチアの違いがその部分に出たであろうと考えられます。効果についてはまだ実地治療の面で十分使われておりませんが、ゲフィチニブより広範囲の患者さんに効果があるのではないかと期待されております。現在、市販後調査が行われていますので、より有効な患者さんがどの程度いらっしゃるのか、あるいはゲフィチニブを使った患者さんにどのくらい効くのかなどについて、新しい情報が半年後、或いは1年後に出てくると期待されます。

icon おわりに

 まとめますとエルロチニブは上皮成長因子チロシンキナーゼ阻害剤で可能なかぎり効果の得られやすい患者さんを選択して用いるべきであろうと考えられます。どういう患者さんに用いるべきかと申しますと一つは標的因子、すなわちEGFR遺伝子変異のある患者さん、もしくは臨床背景で女性、線癌、非喫煙者などに優先的に使われるべきであろうと考えております。しかしながらエルロチニブの臨床試験の結果からそれ以外の患者さんにも有効な患者さんがいらっしゃる可能性もあります。このことに留意され実地治療で投与を検討されたらと考えます。また、今後はゲフィチニブとエルロチニブの使い分けが問題になってくるかと思いますので、専門家の先生方の色々な報告を参考に実地治療に活かしていただければと思います。現時点では韓国のデータでゲフィチニブを投与した患者さんにエルロチニブを使うと、15%の相効率があることが分かっており、非常に注目されるデータだと考えております。最後に分子標的薬の新しい概念の薬剤であり、特定の集団かもしれませんが、この薬剤投与は非常に有効な患者さんがいらっしゃることを認識し、我々使う側は慎重に使用し、薬を育てていくことが重要だろうと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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