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<スズケンDIアワー> 平成20年4月3日放送内容より スズケン

統合失調症治療薬ブロナンセリン


CNS薬理研究所 所長
村崎 光邦

icon リスぺリドンとの比較試験成績

 もう一つのピボタルスタディはリスぺリドンとの比較試験です。世界中で最も処方頻度が高く、第二世代抗精神病薬の代表ともいえるリスぺリドンとの比較試験で、これは日本で最初のリスぺリドンとの比較試験となります。

Risperidoneとの比較試験

 主要評価項目は試験終了時のPANSSの合計スコアの変化量で見ました。投与量は同じくブロナンセリン8ないし24mg/day、リスぺリドン2ないし6mg/dayの8週間試験です。これのPANSSの合計スコアの変動を見ますと、ブロナンセリン群11.05、リスぺリドン群11.51とほとんど同等でブロナンセリンがリスぺリドンに対して、非劣性が検証されました。
 安全性では錐体外路症状は両群とも2/3の症例に認められ、差はありませんでした。ただ、アカシジアでブロナンセリン群が28.8%対17.2%と有意に高かったのが目立ちます。プロラクチンに関しては、リスぺリドンはさらに上昇する方向へ推移したのに対し、ブロナンセリンは正常方向へ推移する動きを示しました。ブロナンセリンはリスぺリドンより高プロラクチン血症による副作用のリスクが低いということが考えられます。その他、体重、QTC、血糖値などでは有意差はなく、食欲亢進と起立性低血圧はリスぺリドンに多く認められました。逆に易興奮性はブロナンセリン群に高く見られました。以上からブロナンセリンはリスぺリドンと同等の効果で非劣性が検証されたと言えます。このリスぺリドンとの二重盲検比較試験の中で26例で認知機能の検索を行いましたが、両群とも言語性記憶を改善したこととブロナンセリン群ではさらに注意の処理速度も改善したという成績が得られました。
 また、長期投与試験で日本の成績が公表されています。神奈川県で行われた長期投与では最終全般改善度28週時が75%、52週時が68.3%と非常に高い改善率を得られています。このように1年経過しても効果が減弱しない、副作用も増加しない、遅発性ジスキネジアも出現しないという長期効果と安全性を証明することができました。

血中プロラクチン値の推移

 なお、プロラクチンに関しましてはリスぺリドンより低く、オランザピンと同程度の作用ではないかと考えられました。

icon 統合失調症治療の新しい展開

 以上の成績に基づいてブロナンセリンの位置づけと今後への期待をお話します。
 薬理学的には、セロトニンドパミンアンタゴニストではなく、ドパミンセロトニンアンタゴニストであるという特徴を持っており、また、もう一つのドパミンパーシャルアゴニストであるアリピプラゾールとも異なる薬理学的性質を持ちながら臨床では非定型性の抗精神病薬であるという特徴が認められました。すなわち、優れた抗精神病作用、陰性症状への作用、錐体外路機能の低さ、プロラクチンに対する安全性などからブロナンセリンは非常にバランスのとれた使いやすい第二世代抗精神病薬であると言えます。今後、統合失調症患者の初発の方を含めた急性期のエピソード、維持期、慢性期においても大変使いやすい第二世代抗精神病薬であり、今後、統合失調症治療のファーストラインドラッグであると思います。このブロナンセリンを統合失調症患者の日常のQOLを高めるためにお使いいただければ幸いと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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