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<スズケンDIアワー> 平成20年4月17日放送内容より スズケン

抗血栓薬 エノキサパリンナトリウム


三重大学附属病院血栓・止血異常症診療センター センター長
和田 英夫

icon エノキサパリンの作用機序

抗凝固薬の作用部位

 エノキサパリンはヘパリンの中でも、低分子量ヘパリンに属します。従来のヘパリン(未分画ヘパリン)は、アンチトロンビンを活性化して、トロンビンとXaの両者を1:1の比率で抑制します。一方、エノキサパリンは同様にアンチトロンビンを活性化しますが、トロンビンへの作用は低く、トロンビンとXa抑制比は1:5の比率です。Xaの選択性が高いことから、エノキサパリンには大きな出血の副作用が少ないと考えられています。また、後で紹介しますフォンダパリヌクスも、アンチトロンビンを活性化することにより作用を発揮する、Xa選択性の高い薬剤です。

海外第3相試験

 エノキサパリンの海外でのエビデンスですが、エノキサパリンは国内では新薬扱いですが、世界的には最も売れている抗凝固薬で、エノキサパリンには多くのエビデェンスが存在します。フォンダパリヌクスと比較した、海外での4つの第・相臨床試験が有名です。
 EPHESUS試験は欧州で、PENTATHLON 2000試験は北米で行われ、何れも2000例以上の股関節全置換術を対象にした直接比較試験です。また、PENTHIFRA試験は、北米を除く全世界で約1,700例の股関節骨折手術を対象にした試験で、PENTAMAKS試験は、北米で約1,000例の膝関節全置換術を対象にした試験です。
 薬剤の投与方法は、フォンダパリヌクスは4試験とも2.5mg1日1回皮下注射し、術後から5〜10日間投与されました。エノキサパリンは、EPHESUS試験とPENTHIFRA試験では40mgの1日1回皮下注射を術前から、PENTATHLON2000試験とPENTAMAKS試験では、30mgの1日2回皮下注射を術後から、投与開始し、5〜10日間投与したものです。

海外比較試験

 これらの4つの大規模臨床試験をメタアナリシスした成績では、症候性静脈血栓塞栓症発現率は、有意差はありませんでしたが、エノキサパリン0.4%、フォンダパリヌクス0.6%でした。致死的・非致死的肺血栓塞栓症発現率も、両群とも0.3%と有意差はありませんでした。一方、有害事象である大出血発現率は、フォンダパリヌクス2.7%、エノキサパリン1.7%であり、フォンダパリヌクスが有意に大出血を起こしたと言えます。
 この結果、ACCPの整形外科領域の術後の静脈血栓塞栓症の予防には、股関節全置換術、膝関節全置換術とも、低分子量ヘパリンであるエノキサパリン、フォンダパリヌクス、用量を調節してのワルファリンが、Grade1Aに推奨されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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