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<スズケンDIアワー> 平成20年4月17日放送内容より スズケン

抗血栓薬 エノキサパリンナトリウム


三重大学附属病院血栓・止血異常症診療センター センター長
和田 英夫

icon エノキサパリンの国内臨床試験成績

エノキサパリン国内第2/3相臨床試験〜VTE発生率

 国内でのエノキサパリンのエビデンスですが、エノキサパリンの第Ⅱ/Ⅲ相試験における静脈血栓塞栓症発現率は、股関節全置換術ならびに膝関節全置換術とも、エノキサパリン2,000IUの1日2回投与群は、それぞれ20.0%、29.8%と、プラセボ群それぞれ41.9%、60.8%に比べて有意に減少しました。また、エノキサパリン2,000IUの1日2回投与は、2,000IUの1日1回投与や、4,000IUの1日1回投与と比べて、静脈血栓塞栓症発現率をより抑制すると考えられました。なお、エノキサパリン2,000IUはエノキサパリン20mgに相当します。

エノキサパリン国内第2/3相臨床試験〜出血事象発現率

 エノキサパリン2,000IU1日2回投与における有害事象は、股関節全置換術における大出血2.9%、小出血3.9%であり、プラセボ群のそれぞれ0 %、2.0%と比べてやや多いですが、有意な差は見られませんでした。膝関節全置換術においても、エノキサパリン2,000IU1日2回投与は、プラセボ群と比較して、大出血ならびに小出血の出現頻度に有意な差を見ませんでした。

icon エノキサパリン使用上の留意点

 以上の臨床試験成績から、エノキサパリンは国内で股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術後の静脈血栓塞栓症発症予防に投与が認められる予定です。エノキサパリンの半減期は約3.2時間であることから、エノキサパリンの投与方法は、術後24〜36時間後に、手術創等から出血がないことを確認して、2000 IU(20mg)を1日2回皮下注射します。腎機能に問題があり、クレアチニンクリアランスが30〜50mL/minの場合は、投与間隔を延長するのが望ましいと思います。
 エノキサパリンの使用禁忌は、ヘパリン/ヘパリン誘導体に過敏症の既往、頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等、急性細菌性心内膜炎、重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の既往です。
 万が一、出血の副作用が発生した場合は、投与後8時間以内ならエノキサパリン100IUに対して硫酸プロタミンを1mgの割合で投与し、8〜12時間以内ならその半量を投与します。このように、エノキサパリンは間違って過量投与されても、中和することが可能です。

第7回ACCPガイドライン

 以上、エノキサパリンは抗Xa作用が強いことから、出血の副作用が少なく、万が一出血しても中和することが可能で、世界的にもエビデンスも多く、第7回ACCPガイドラインの静脈血栓症の予防にもGrade1Aに推奨されており、有効で、安全性の高い薬剤であります。しかし、抗凝固剤なので、その使用には注意を払い適正な使用が必要でもあります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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