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<スズケンDIアワー> 平成20年5月1日放送内容より スズケン

腎細胞癌治療薬 ソラフェニブトシル酸塩


九州大学病院泌尿器科 教授
内藤 誠二

icon 海外の臨床試験成績から

Treatment with sorafenib significantly prolonged PFS versus placebo by independent assessment*

 海外のプラセボを対照群とした無作為化二重盲検比較試験で、通称TARGETsと呼ばれる第III相臨床試験は、中間解析においてソラフェニブ群はプラセボ群に比べて無増悪生存期間を2倍に延長することが示されました。このため、FDAは倫理的観点からプラセボの投与を打ち切り、全例にソラフェニブ投与の機会を与えるよう提言するとともに、2005年に本成績に基づいた承認申請を認めました。そして、その後の解析ではソラフェニブによる全生存率の改善を示唆するデータも得られ、昨年のASCOにおいて報告されました。

32週時点での無増悪生存率

 単純な比較はできませんが、わが国の試験結果はこのTARGETs試験結果と比べて、副作用の発現頻度はやや高い傾向にありますが、奏効率や無増悪生存期間では明らかに優っています。ソラフェニブは腎細胞癌の治療に大きな変革をもたらす新規治療薬として、期待がもたれますが、長期投与における未知の副作用や日本人に特有の副作用が発現しないとも限りませんので、注意深い使用を心がけていただきたいと思います。今後、インターフェロンや他の分子標的薬との併用やsequentialな使用などによって、治療の幅が広がっていくことを期待したいと思います。

icon その他の副作用について

 その他の副作用としては、心筋虚血・心筋梗塞が131例中2例(1.5%)に報告されています。2例とも症状があり、検査結果にて虚血を示す不安定狭心症の状態であり、急性心筋梗塞には至っていないグレード3でした。ソラフェニブによって心血管系合併症のリスクが高まる可能性は否定できませんので、心血管系の疾患を有する患者あるいは既往のある患者などへの投与には十分な注意が必要です。
 このほか、ALTおよびASTの上昇がともに131例中13例(9.9%)にみられました。発現時期は、投与開始から1〜3ヵ月以内に発現する傾向がありました。低グレードの症例ではほとんどは継続投与が可能ですが、定期的に検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、専門医による治療など適切な処置が必要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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