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<スズケンDIアワー> 平成20年5月23日放送内容より スズケン

日本薬学会第128年会について


大阪府立健康科学センター 健康生活推進部長
中村 正和

icon バレニクリン使用の留意点

 バレニクリンの処方にあたっての禁忌は特に設定されておりません。バレニクリンはニコチンを含まないため、心血管疾患にも使いやすいという特徴があります。ニコチン製剤では禁忌となる急性期の心筋梗塞や不安定狭心症、重篤な不整脈、脳血管障害回復初期、経皮的冠動脈形成術や冠動脈バイパス術の直後なども使用できます。また、ニコチンパッチによる皮膚のかぶれが強い場合やニコチンパッチを使って禁煙できなかった場合、義歯や顎関節症でニコチンガムが使いにくい場合などは、バレニクリンの使用が適していると考えます。なお、バレニクリンは原則としてニコチン製剤との併用はできません。
 未成年者、妊婦や授乳婦、精神疾患については、今のところ臨床試験のデータがないことから、慎重な投与が必要です。また、本剤は腎臓より直接排泄されるため、重度の腎機能障害を有する患者では投与量の調節が必要となります。
 本剤の主な副作用には、嘔気、便秘、上腹部痛、鼓腸、頭痛、鼓腸、頭痛、異常な夢、不眠症があります。このなかで頻度が高いのは嘔気で約2割の出現頻度ですが、一般に一過性で服用を続けるうちに改善します。食後に薬剤を服用することにより軽減することができますが、症状が強い場合は一般的な制吐剤を処方します。それでも改善しない場合は、投与量の減量を検討して下さい。
 バレニクリンを使用して禁煙を試みた際に、因果関係は明らかではありませんが、抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動の変化、自殺念慮及び自殺が報告されているため、投与する際には患者の状態を十分に観察するようにします。尚、これらの症状は禁煙だけでも起こることがあります。したがって、バレニクリンの使用の有無に関わらず、禁煙治療における一般的な注意として考えていただく必要があります。特に精神疾患の病歴を有する喫煙者ではこれらの症状が起こりやすいので、禁煙に際して精神疾患の病歴がないかどうかをきちんと把握しておくことが必要です。もし精神疾患の病歴がある場合は、病状が落ち着いていて禁煙に取り組める状態かどうかについて、必要に応じて精神科の主治医と連絡をとって相談し、禁煙する場合は禁煙後の十分な観察が必要です。
 そのほか、バレニクリンの服用によりめまい、傾眠等があらわれることがあるため、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させることが必要です。
 保険による禁煙治療におけるバレニクリンの使用方法の詳細については、日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会の3学会のホームページで公開されている「禁煙治療のための標準手順書」改訂第3版をご参照ください。
 2008年はバレニクリンが新しい禁煙治療薬として健康保険で使用できるようになったことのほか、外来で保険による禁煙治療を始めた患者が入院し、入院中も禁煙治療を続ける場合は、その治療に必要な薬剤を保険で処方できるようになりました。さらに、ニコチンパッチが2008年の4月にOTC薬としても承認され、6月から薬局でも入手できるようになりました。わが国ではイギリスやアメリカと比較して、禁煙の際に禁煙の薬剤を使ったり、禁煙治療を受ける割合が低いことがわかっています。今後、禁煙に有効な薬剤を使って多くの喫煙者が禁煙できるように環境を整えていくことが必要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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