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<スズケンDIアワー> 平成20年5月29日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(22)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 前回の放送でお伝えした品目以降に薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。

icon プリジスタ錠の薬価算定根拠

 はじめは、プリジスタ錠です。

ブリジスタ錠の薬価算定根拠

 有効成分は、ダルナビルエタノール付加物で、ヤンセンファーマの開発です。ダルナビルエタノール付加物は、HIVプロテアーゼ阻害作用を有し、「HIV感染症」を効能効果とします。効能効果、薬理作用、投与形態が同一のホスアンプレナビルカルシウム水和物の製剤であるグラクソ・スミスクラインのレクシヴァ錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。本剤は、他のHIV薬が効かなくなったHIV感染症患者を対象とした臨床試験において、本剤を含む多剤併用療法が、本剤を含まない多剤併用療法よりも優れた効果を発揮し、かつ安全性は同様であったことを踏まえ、有用性加算(II)が適用されました。
 なお、これに対し、申請者からは、従来の医薬品とは異なった作用の対象となる酵素の特定部位に強く結合することによって耐性が生じにくいということが示されており、「臨床上有用な新規な作用機序」を有し有用性加算(I)に該当するのではないかとの不服意見が出されましたが、申請者が主張する新規の作用機序が臨床上有用であるかどうかが明確にされているとは言えないと判断され、不服意見は却下されています。
 また外国価格調整に関しては、算定薬価は外国平均価格の3/4を下回りますが、外国平均価格が1国のみの価格に基づき算出される場合に該当することから、引き上げは行われませんでした。
 本剤については、昨年(2007年)11月28日の中医協総会で審議され、11月30日に薬価基準に緊急収載されました。

icon コンサータ錠とケアロードLA錠・ベラサスLA錠の薬価算定根拠

コンサート錠の薬価算定根拠

ケアロードLA錠の薬価算定根拠

 次は、コンサータ錠です。有効成分は、塩酸メチルフェニデートで、ヤンセンファーマの開発です。塩酸メチルフェニデートは中枢神経興奮作用を有し、「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を効能効果とします。塩酸メチルフェニデートは、リタリンという販売名で、ナルコレプシーを適用とする経口剤が既に発売されています。ご承知のようにリタリンは乱用が問題となり、うつ病の適用が削除された経緯があります。今回新たな効能が追加され従来とは異なる含量の製剤が異なる販売名で承認されたものです。同様の効能効果を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により算定が行われました。
 次は、ケアロードLA錠及びベラサスLA錠です。有効成分は、ベラプロストナトリウムで、ケアロードLA錠は東レ、ベラサスLA錠は科研製薬の開発です。ベラプロストナトリウムは、血小板凝集抑制作用及び血管拡張作用を有し、「肺動脈性肺高血圧症」を効能効果とします。すでに発売されている同一成分の製品、ドルナー錠およびプロサイリン錠を徐放製剤としたもので、薬価はこれらを比較対照薬に規格間調整による算定が行われました。類似薬に規格間比がないことから規格間比は1が用いられています。本剤は、徐放錠にすることにより服用回数が低減できることから規格間調整により算定する場合に認められている特例の加算が適用されました。なお、申請者によるとピーク時の投与患者数は1000人と予測されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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