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<スズケンDIアワー> 平成20年7月3日放送内容より スズケン

子宮内膜症に伴う月経困難症治療用低用量ピル製剤


東京大学附属病院女性診療科・産科・女性外科 講師
百枝 幹雄

icon 新しい低用量ピルの登場

月経困難症・骨盤痛重症度評価スケール

 このような状況の中で、低用量ピルの子宮内膜症に対する保険適用について患者からの要望が高まり、これに応えるべく臨床試験が開始されたというわけです。その当時、低用量ピルが月経困難症に対して有効であることは広く認知され、特に欧米では子宮内膜症に伴う月経困難症の治療薬としては第1選択であるとされているにも関わらず、それまで医学的エビデンスとなる無作為化された臨床試験はありませんでした。そこで、低用量ピルの子宮内膜症に対する保険適用を申請するにあたっては入念な臨床試験計画が立案されました。ひとつはプラセボ対照二重盲検無作為化群間比較試験であり、もうひとつは長期投与試験です。

月経困難症スコア合計の推移

 前者のプラセボ対照比較試験では、主要評価項目として月経困難症の程度とその際の鎮痛剤の使用の程度を合わせた月経困難症スコアを設定し、4周期の投与で評価しました。その結果、ルナベル群ではプラセボ群に比較して、月経困難症スコアは投与1周期目から有意に低下しました。副次的評価項目である月経困難症のVisual Analogue ScaleすなわちVASによる評価でも同様に投与周期から直ちに有意な低下を示しました。また、やはり副次的評価項目として調査した子宮内膜症性卵巣嚢胞に対する効果でも、ルナベル群はプラセボ群に比較して4周期投与終了時の嚢胞の有意な縮小が観察されました。一方、本試験で認められた副作用のうち、プラセボ群に比較してルナベル群で有意に発生頻度が高かったものは、不正性器出血と悪心であり、それぞれ60%と24%でした。
 もうひとつの長期投与試験はルナベルを13周期、すなわち約1年間投与し、主要評価項目として、比較試験と同じ月経困難症スコアを評価しました。

月経困難症スコア合計の推移

子宮内膜症性卵巣嚢胞の大きさの推移

 その結果、投与前と比較して投与1周期目からスコアは有意に低下し、投与期間中その効果は持続しました。なお、副次的評価項目である月経時以外の骨盤痛スコアについては、4周期しか投与しなかったプラセボ対照比較試験では有意な低下を認めませんでしたが、長期投与試験においては6周期以降で投与前よりも有意な低下を認め、ルナベルは子宮内膜症に伴う慢性骨盤痛についても長期投与により有効性を示すことが明らかとなりました。

副作用発現率の推移

 一方、長期投与による副作用として10%以上認められたものは、不正性器出血59.4%、悪心25.8%、頭痛15.6%であり、服用期間が長くなるにつれて頻度が高くなる副作用はありませんでした。

 

提供 : 株式会社スズケン



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