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<スズケンDIアワー> 平成20年7月10日放送内容より スズケン

肺動脈性肺高血圧症治療薬ベラプロストナトリウム


国立循環器病センター心臓血管内科肺循環グループ 医長
中西 宣文

icon 肺動脈性肺高血圧症とは

 本日は肺動脈性肺高血圧症治療薬ベラプロストナトリウムについてお話したいと思います。まず、本題に入る前に、肺動脈性肺高血圧症について簡単に説明します。肺動脈の血圧 肺動脈圧は、体動脈圧にくらべて非常に低いことが特徴で、肺動脈圧の平均圧は、通常では20mmHgを越えることはほとんどありません。そこで一般臨床では、平均肺動脈圧が25mmHgを越える場合に、有意の肺高血圧が存在すると判断します。また何らかの原因によって肺高血圧が持続している病態を肺高血圧症と言います。肺高血圧症は、色々な原因で発病することが知られ、その原因疾患によって治療法が異なります。2003年にベニスで開催された肺高血圧症ワールドシンポジウムでは、肺高血圧症の新しい臨床分類法が提唱されました。

肺高血圧症の分類

 この分類では、肺高血圧症は5つのグループに分けられ、第1群が今回対象の肺動脈性肺高血圧症、第2群が肺静脈性肺高血圧症、第3群が呼吸器または低酸素血症に関連する肺高血圧症、第4群が慢性塞栓症、血栓症による肺高血圧症、第5群がその他となっています。このうち、第1群、肺動脈性肺高血圧症は、原発性肺高血圧症や、膠原病に合併する肺高血圧症、Eisenmenger症候群など、原因は解明されていませんが、肺動脈の攣縮とともに、肺血管内皮細胞や血管平滑筋細胞が異常に増殖し、この結果肺動脈を閉塞して高度の肺高血圧が生じている症例群を一括した病名です。尚、現在、原発性肺高血圧症は、特発性肺動脈性肺高血圧症と言う病名に名称が変更されておりますが、今回はこれまでと同様に、原発性肺高血圧症を使用します。

icon 原発性肺高血圧症の治療

 肺動脈性肺高血圧症の代表的疾患である、原発性肺高血圧症は、以前は診断後の平均余命が約3年と極めて予後不良であり、さらに有効な治療薬のない難病として知られてきました。

肺動脈性肺高血圧症の治療薬

 しかし、現在はプロスタサイクリン経路、エンドセリン経路、一酸化窒素経路と言われる、作用機序の異なる3種類の治療薬が開発され、一定の治療効果が得られるようになってきました。現在、わが国で処方することが可能なプロスタサイクリン経路に属する治療薬にはエポプロステノールと本日のテーマであるベラプロストがあります。エンドセリン経路に属する薬剤としてはボセンタンが、一酸化窒素経路に属する薬剤としてはシルデナフィルがあります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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