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<スズケンDIアワー> 平成20年7月24日放送内容より スズケン

輸血による慢性鉄過剰症治療薬 デフェラシロクス


NTT関東病院予防医学センター 所長
浦部 晶夫

icon デフェラシロクスの臨床治験成績

 わが国での慢性鉄過剰症患者は、多くは頻回の輸血によるものなので、発売前の治験は、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血などの難治性貧血患者で、35単位以上の赤血球輸血が施行され、血清フェリチンが1000以上の者を対象としました。
 治験ではデフェラシロクスの投与量は5〜30mg/kgで、単回ならびに反復投与としましたが、有害事象等で、投与中止となる例も少なく、第I相試験は終了しました。
   鉄の糞中への排泄量はデフェラシロクスの投与量に比例して用量依存的に増加し、デフェラシロクス20mg/kgの投与で、1日に0.34mg/kgの鉄が排泄されました。デフェラシロクス投与に伴って、血清フェリチンが次第に低下し極めて良好な鉄排泄効果がみられました。
 副作用としては、下痢、悪心などの消化器症状、血清クレアチニンの上昇、発疹などがみられましたが、大半は軽度で可逆的なもので、十分にコントロールが可能で、安全性も確認されました。デフェラシロクスは20mg/kgを1日1回水で溶かして飲むことが標準投与量で適宜増減しますが30mg/kgを超えないことと、輸血量が少ない患者では、10mg/kgの投与も勧められます。

icon 鉄キレート療法の診療ガイドライン

 輸血による慢性鉄過剰症が適応疾患になりましたが、鉄キレート療法についての診療ガイドラインが厚生労働省の、特発性造血障害に関する調査研究班から発表され、臨床上、大変参考になります。
 輸血後、鉄過剰症と診断するためには、赤血球輸血の総量が20単位以上で、かつ血清フェリチン500以上が必要条件になります。
 鉄キレート療法の開始の目安は、血清フェリチンが1000以上、赤血球輸血の総量が40単位以上となっています。そしてキレート療法によって血清フェリチンを500と1000の間に維持し、500以下になったら、鉄キレート剤を中断することになっています。大変わかりやすい指針であり臨床上有用性の高いものと考えられます。新しい経口薬の鉄キレート剤デフェラシロクスは今年(2008年)6月に薬価収載されました。今後の鉄過剰症の治療に大変有益なものと期待されております。

 

提供 : 株式会社スズケン



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