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<スズケンDIアワー> 平成20年8月21日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(23)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 前回の放送でお伝えした品目以降に薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。

icon ロナセン錠・ロナセン散とアマージ錠の薬価算定根拠

ロナセンの薬価算定根拠

アマージの薬価算定根拠

 はじめは、ロナセン錠及びロナセン散です。有効成分は、ブロナンセリンで、大日本住友製薬の開発です。ブロナンセリンは、抗ドパミン作用および抗セロトニン作用を有し、「統合失調症」を効能・効果とします。補正加算のいずれの要件にも該当せず、効能・効果、薬理作用等が類似する内用薬が既に3つ以上あることから、類似薬効比較方式(II)で算定が行われました。薬価の算定に当たっては、最も類似していると考えられるフマル酸クエチアピン製剤の薬価、過去10年間に薬価収載された類似薬の平均1日薬価、過去6年間に収載された類似薬の最低薬価を比較し、最も薬価の低かった、過去10年間に薬価収載された類似薬の平均1日薬価に合わせることとされました。
 次は、アマージ錠です。有効成分は、ナラトリプタン塩酸塩で、グラクソ・スミスクラインの開発です。ナラトリプタン塩酸塩は、5-HT1B 及び1D受容体刺激作用を有し、「片頭痛」を効能・効果とします。補正加算のいずれの要件にも該当せず、効能・効果、薬理作用等が類似する内用薬が既に3つ以上あることから、類似薬効比較方式(II)で算定が行われました。薬価の算定に当たっては、最も類似していると考えられるエレトリプタン臭化水素酸塩製剤の薬価、過去10年間に薬価収載された類似薬の平均1日薬価、過去6年間に収載された類似薬の最低薬価を比較したところ、最も薬価の低かったのが過去6年間に収載された類似薬の最低薬価であり、それが最も類似していると考えられるエレトリプタン臭化水素酸塩の製剤であるファイザーのレルパックス錠であったことから、これが比較対照薬とされました。

icon レバチオ錠とノベルジンカプセルの薬価算定根拠

レバチオの薬価算定根拠

ノベルジンの薬価算定根拠

 次は、レバチオ錠です。有効成分は、シルデナフィルクエン酸塩で、ファイザーの開発です。シルデナフィルクエン酸塩はホスホジエステラーゼ5阻害作用を有し、「肺動脈性肺高血圧症」を効能・効果とします。シルデナフィルクエン酸塩は、バイアグラという販売名で、勃起不全を適用とする経口剤が既に発売されていますが、ご承知のようにバイアグラは保険適用となっていません。今回新たな効能が追加され従来とは異なる含量の製剤が異なる販売名で承認されたものです。同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により算定が行われました。原価計算方式では、製造原価、販売費及び一般管理費、営業利益、流通経費、消費税を積み上げて薬価を算定しますが、販売費及び一般管理費、営業利益、流通経費については各種統計をもとに平均的な数値が用いられています。しかし、今回の算定から営業利益率については、既存治療と比較した場合の革新性や有効性、安全性の程度に応じて、平均的な営業利益率の±50%の範囲内の数値が用いられることとされています。なお、現在用いられている平均的な営業利益率は、流通経費を除く価格の19.2%となっています。本剤の営業利益率については、本剤が、既存治療薬と異なるホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する点で革新性があり、また、有効性については、米国の治療ガイドラインにおいてその使用が推奨されており、特に、WHO機能分類クラスIIの患者の治療においては、既存治療薬よりも推奨度が高く第1選択薬に位置付けられ、既存治療薬より高い有用性が期待されることが評価され、平均的な営業利益率プラス20%の営業利益率、すなわち23.0%を用いることとされました。
 次は、ノベルジンカプセルです。有効成分は、酢酸亜鉛水和物で、ノーベルファーマの開発です。酢酸亜鉛水和物は銅吸収阻害作用を有し、「ウイルソン病(肝レンズ核変性症)」を効能効果とします。同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により算定が行われました。営業利益率は、平均的な営業利益率19.2%とされました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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