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<スズケンDIアワー> 平成20年9月4日放送内容より スズケン

関節リウマチ治療薬 アダリムマブ


東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター 教授
山中 寿

icon アダリムマブの特徴

 最近、遺伝子組み換え技術を用いてターゲットとなる分子の働きを制御する生物学的製剤が多数開発され、関節リウマチの治療にも大きな変革の波をもたらしました。現在、日本で使える生物学的製剤は、抗TNF製剤であるインフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブの3剤と抗IL-6受容体抗体としてトシリズマブがあります。

本邦で使用可能な抗TNF製剤の特性

 最初の抗TNF製剤として開発されたレインフリキシマブは、DMARDs抵抗性の患者に有効であるだけでなく、関節破壊がそれほど進行していない早期患者に使用することによって関節破壊の進展を完全に防止し、寛解を長期間維持できることも可能であることが明らかになっています。このように生物学的製剤の功績は大きいのですが、インフリキシマブは可変領域にマウス蛋白が含まれるキメラ型抗体であるため、ヒト抗キメラ抗体の出現による注射時反応や効果減弱が生じ、継続的に治療できない患者さんがいます。これはインフリキシマブの分子構造に起因するため修正不能な問題点です。この問題点を解決するために開発されたのが、アダリムマブです。

アダリムマブはヒト型抗体である

 アダリムマブはインフリキシマブと同様にTNFαに対するモノクロナル抗体ですが、全てヒト由来成分で構成されています。したがって、インフリキシマブで発現するマウス由来蛋白に対する抗体は産生されず、重篤な免疫反応のリスクは理論的にはなくなっています。アダリムマブは特異的にヒトTNFαに結合し、その作用を中和することによって炎症反応経路を遮断し、TNFαによって誘導されるサイトカインや骨破壊に関与する因子の濃度を低下させ、症状の改善や関節破壊の進展を防止します。アダリムマブは、海外で多くの関節リウマチ患者を対象にした臨床試験が実施されており、(1)既存のDMARDs治療抵抗性の患者にも有効であること、(2)投与開始1週間以内に改善効果を示し、長期間効果を維持すること、(3)患者のQOLを改善すること、(4)関節破壊の進展を防止すること、などが報告されています。これらの試験成績について紹介しましょう。

icon アダリムマブの海外臨床試験成績

アダリムマブ海外臨床試験

 1つ目はARMADA試験です。これは既存のDMARDで症状をコントロールできない患者にメトトレキサート併用下にプラセボ、アダリムマブの20mg、40mg又は80mgを24週間隔週皮下投与した時の有効性と安全性を検討した試験です。この試験では、アダリムマブの40mg隔週投与が臨床推奨用量であること、長期間投与でも効果が持続すること、また、ステロイドやメトトレキサートの減量が可能であることが確認されました。次は関節破壊の進展防止効果を3年間にわたって評価したDE019試験です。この試験では、メトトレキサート不応例にアダリムマブ又はプラセボを投与して、プラセボに比べて有意に関節破壊の進展が防止されることが確認されました。また、途中からアダリムマブを追加した場合でも、追加以降は関節破壊の進展が防止されることが確認されました。
 現在の関節リウマチの治療戦略では、早期に十分な関節炎の鎮静化を図ることが必要であると強調されています。そのことを証明した試験がPREMIER試験です。この試験では、発症3年以内、実際には罹病期間が平均0.7ヵ月の早期RA患者を(1)アダリムマブとメトトレキサートの併用、(2)メトトレキサート単独、(3)アダリムマブ単独の3群のいずれかに無作為に割付け、2年間、症状の改善及び関節破壊の進展防止を評価しました。その結果、アダリムマブとメトトレキサートの併用群、アダリムマブ単独群は、いずれもメトトレキサート単独群に比べて26週、52週、104週で有意に優れた関節破壊の進展防止効果を示しました。そして、アダリムマブとメトトレキサート併用群はアダリムマブ単独群に比べて有意に優れ、しかも関節破壊の進展をほぼ完全に防止しました。これらのデータに基づいて、欧米ではアダリムマブを関節リウマチ患者に対しての第一選択薬として使用することが可能になりました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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