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<スズケンDIアワー> 平成20年9月11日放送内容より スズケン

遺伝子組換えアルブミン製剤


比留間医院 院長
比留間 潔

icon 遺伝子組み換えアルブミン製剤の意義

 遺伝子組み換え血液製剤の大きな利点は、ヒトの血液を一切、使っていないということです。
 「メドウェイ」は製造過程において、ウイルスなどの病原体の混入の可能性がある、ヒト由来の材料をいっさい使用しておりません。現在、ヒト血液から製造された血液製剤の安全技術は向上してきましたが、それでも新しい未知の病原体などの混入の危険性を完全に否定することはできません。
 たとえば、イギリスでは牛に牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病が多発し、これが人間に感染したと考えられる変異型クロイツフェルトヤコブ病が発生しました。この病原体は蛋白質である異常プリオンと考えられ、さらに輸血を介して感染する可能性が示されています。このためイギリスでは自国の血液でアルブミン製剤を製造することを中止しています。
 「メドウェイ」は、このような血液製剤の宿命とも言える、感染症のリスクを克服できることが、大いに期待されるところです。
 ところで、国は血液製剤による感染症を予防するため、平成14年、薬事法を改正し、血液製剤を「生物由来製品」あるいは「特定生物由来製品」に指定し、安全性への特段の配慮を求めています。すでに臨床応用されている遺伝子組換え血液凝固因子製剤なども、製造工程に動物細胞、またはヒト血液を用いていたりするので、「生物由来製品」あるいは「特定生物由来製品」に指定されています。
 一方、今回開発された「メドウェイ」は、ヒト、動物由来の材料をいっさい使用していませんので、「生物由来製品」あるいは「特定生物由来製品」のいずれにも指定されておりません。

遺伝子組み換え製品の生物・特定生物由来製品指定

icon わが国の血液事業における遺伝子組み換えアルブミン製剤の意義

 わが国には、海外からの輸入品である血液凝固因子製剤により、多くの血友病の患者さんがHIVウイルスに感染したという悲しい歴史があります。このことを反省し、再発を防止するため、平成14年に「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」が制定されました。この法律では、血液製剤を外国に頼らず、国内で自給することが求められています。
 ところが、アルブミン製剤は平成18年度において、国内自給率は57%にすぎず、いまだに4割以上を海外から輸入しているのです。

血漿分画製剤の国内自給率

 国は「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」を定め、この中で、平成25年度を目途に、アルブミン製剤の国内自給の達成を図るとしております。
 現在、献血者からいただいた血漿成分は、有効に利用するため、アルブミン製剤のみならず、同時に血液凝固因子製剤や免疫グロブリン製剤などの原料に用いています。このように同時に生産される一連の製品を連産品と呼んでいます。

連産品問題

 したがって、献血者の血液の有効利用を考えると、アルブミンの生産量だけを増やすことが困難なのです。
 遺伝子組み換えアルブミン製剤、「メドウェイ」は献血者の血液を用いず、アルブミン製剤を大量に生産できる可能性がありますので、将来、アルブミン製剤の国内自給の達成に貢献することが期待されます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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