<スズケンDIアワー> 平成20年9月25日放送内容より |
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国立成育医療センター 臨床検査部長
奥山 虎之
ムコ多糖症VI型は、マロトーラミー症候群とも呼ばれています。欠損している酵素は、Nアセチルガラクトサミン4サルファターゼと呼ばれています。遺伝形式は、常染色体劣性遺伝です。臨床症状は、ムコ多糖症II型やI型に似ていますが、角膜混濁があること、発症に男女差がないこと、精神運動発達障害や退行などの中枢神経症状を伴わないことが特徴です。極めてまれな疾患で、確認されている日本人患者は10人以下です。
ムコ多糖症の治療は、対症療法と根治的治療法に分けられます。 これに対して、酵素補充療法は、欠損している酵素そのものを補うことによる治療法で、骨髄移植などの造血幹細胞移植などともに、根治的治療法と呼ばれています。酵素補充療法は、ライソゾーム酵素に特異的な細胞内輸送系により成り立っています。多くのライソゾーム酵素はマンノース-6-リン酸(M6P)残基をもち、細胞膜表面に存在するM6P受容体に結合した後、細胞内に取り込まれ、さらにライソゾーム内に輸送されます。ムコ多糖症ではこの輸送系を利用して、欠損している酵素を体外から補充することにより、細胞膜表面から細胞内そしてライソゾーム内に酵素を輸送し、ライソゾーム内に蓄積しているムコ多糖の分解を促進し、症状の改善を図ることができるのです。ガルスルファーゼは、ムコ多糖症VI型の酵素補充療法製剤として開発され、本年(2008年)3月に日本でも承認されました。
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