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<スズケンDIアワー> 平成20年10月23日放送内容より スズケン

進行・再発大腸癌治療薬 セツキシマブ


国立がんセンター東病院 消化器内科
吉野 孝之

icon セツキシマブに特有の皮膚毒性

 次に有害事象と奏効率の関係を示した研究結果を紹介します。

cetuximabに特有の皮膚毒性

 セツキシマブに特徴的な有害事象であるざ瘡様皮疹が奏効率と相関があると考えられています。ざ瘡様皮疹は、顔や胸部、背部などににきび様の皮疹が出るもので、セツキシマブ治療の際にはこの皮疹のコントロールが非常に重要になります。このざ瘡様皮疹とセツキシマブの抗腫瘍効果には相関関係があり、数々の試験の結果、皮疹のグレードが高まるにつれて、生存期間も延長していることが見出されました。
 しかし、皮疹はあくまで毒性であり、治療前に評価可能な治療効果予測因子の開発が望まれていました。近年、後述のKRAS遺伝子変異が、セツキシマブの治療効果予測因子として注目されています。

icon KRAS遺伝子変異との関連

 KRASとはEGFRからのシグナルを受けて細胞の増殖などに関与することが知られているたんぱく質です。加えて、KRAS遺伝子に変異があるとEGFRを阻害してもKRASが活性化されたままで腫瘍細胞の増殖が抑えられません。大腸癌の約40%にKRAS変異が認められています。

 本年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の最大のトピックは、セツキシマブ治療により延命、症状改善、腫瘍縮小効果などの利益を得られない可能性の高い患者群が明らかになったことでした。すなわち、KRAS遺伝子変異を示す症例であります。セツキシマブ治療から利益を得られる可能性があるKRAS遺伝子変異のない野生型を示す患者群にのみ投与を検討することが推奨されました。

EUでのcetuximabの承認条件の変遷

 欧州では大腸癌に対するセツキシマブ治療はEGFR陽性のKRAS野生型のすべての治療段階を適応症として承認されています。分子標的治療は高額であるため、投与して効果が得られる症例を選択していくことが重要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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