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<スズケンDIアワー> 平成20年10月23日放送内容より スズケン

進行・再発大腸癌治療薬 セツキシマブ


国立がんセンター東病院 消化器内科
吉野 孝之

icon セツキシマブによる治療の位置づけ

 次に切除不能進行・再発大腸癌に対するセツキシマブ治療の位置づけについて解説します。
 ファーストライン治療としては、標準治療の一つであるFOLFIRI(イリノテカン+5-FU)単独群とFOLFIRIにセツキシマブを併用する群を比較したCRYSTAL試験が実施されています。このCRYSTAL試験では、ハザード比は0.85と高く、無増悪生存期間中央値の差は0.9カ月でありました。そのため、FOLFIRIにセツキシマブを併用するレジメンはファーストライン治療としての評価は現時点ではないとされています。
 セカンドライン治療として、オキサリプラチンと5-FUに抵抗性となった患者を対象に、イリノテカンにセツキシマブを併用する群とイリノテカン単独群を比較したEPIC試験が実施されています。

EPIC:全生存期間

 このEPIC試験では、ハザード比は0.69、無増悪生存期間は単独群2.6カ月に対して併用群4カ月と有意差が確認されました。EPIC試験では、イリノテカン単独群とセツキシマブを併用する群の間で全生存期間は変わらなかったが、これはイリノテカン単独群には試験終了後にセツキシマブを併用投与しており、これが全生存期間が同じになった理由と考えられています。この結果から、セカンドライン治療においてセツキシマブは、最初からイリノテカンと併用して投与しても良いし、セカンドライン治療が失敗してからイリノテカン治療にセツキシマブを加えても良いといえます。

3rd-lineのCetuximabの治療成績

 サードライン治療として、ベストサポーティブケア(BSC)群とセツキシマブ群を比較したNCIC CO.17試験では、ハザード比0.68で有意差が認められました。全生存期間でも有意差が確認されて、サードラインとしての有効性が確認されました。
 これらの結果から、現状では、セツキシマブはセカンドライン治療、サードライン治療で使う治療薬であると位置づけられます。
 以上から抗EGFR抗体薬であるセツキシマブは、切除不能進行・再発大腸癌のセカンドライン、サードライン治療で使う薬であります。全身状態の良好な方にはイリノテカンとの併用で、不良な方には単独で用いることが推奨されます。そして治療前にKRAS遺伝子検査を実施し、変異がない野生型であることを確認する必要があります。

 このように切除不能進行・再発大腸癌の薬物療法はKRAS遺伝子変異の知見から、今後個別化治療へ向かうものと考えます。薬剤を投与する前にその効果を予測するKRAS遺伝子測定は、利益を得られる患者様に最適な治療法を提示する理想的な姿であると信じています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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