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<スズケンDIアワー> 平成20年11月6日放送内容より スズケン

男性における下痢型過敏性腸症候群治療薬ラモセトロン塩酸塩


弘前大学保健管理センター 教 授
佐々木 大輔

icon 第1段階の治療戦略

治療ガイドライン第1段階

 第1段階の治療ですが、食事指導・生活習慣改善が挙げられます。
 患者さんは日常生活に問題のあることが多く、生活上の改善すべきところや問題のある環境因子などを指摘し、環境調整をはかるようにします。
 食事指導としては、ソルビトールなどの非吸収性糖質や、カフェインを多く摂取しているならば控えさせます。食物線維は、可溶性線維を勧めます。不溶性線維も一定の効果があるのですが、腹部膨満感を来たしやすいので過量摂取を避けます。
 薬物治療としては、第1段階の治療戦略は下痢、便秘、腹痛といった症状に基づく薬物治療です。

(1) 下痢型IBS:止痢薬に分類される薬剤のうち、収斂作用や浸透圧調整により止痢効果のある薬剤は、頓用すると一時的に下痢を抑えますが、長期的には無効であります。下痢をもたらす消化管運動異常の治療には、メペンゾラート臭化物やトリメブチンマレイン酸塩を用います。線維製剤のポリカルボフィルカルシウムは下痢型に効果が確認されています。

第III相試験

長期投与試験

 この度、ラモセトロン塩酸塩が男性の下痢型に有効であることが確かめられました。ラモセトロン塩酸塩はセロトニン3受容体拮抗薬であり、1日1回、5ないし10㎍という微量で効果を現します。なお、ラモセトロン塩酸塩は、既に抗悪性腫瘍薬投与に伴う消化器症状、悪心、嘔吐、として保険適用がありますが、IBSに用いる場合とは用法・用量が異なりますので注意が必要であります。なお、排便が3日間以上ない場合には一時、服薬を控えさせます。また、女性には保険適用されないことにも留意が必要であります。

(2) 便秘型:下剤に分類される薬剤のうち、大腸刺激性下剤はできるだけ使用を控えます。しかし、便秘の訴えは腹痛や腹部不快感を伴うこともあり、排便が無いことに対しては恐怖感を持つことがあります。また、治療初期では排便習慣の確立も大切でありますので、少量の緩下剤の使用もやむをえません。下剤としては増量性下剤の酸化マグネシウム、刺激性下剤のピコスルファートナトリウム、あるいは糖類下剤を選択します。
 線維製剤のポリカルボフィルカルシウムは小腸に入ると腸管の中の水分を吸収してゲル状となります。水分はゲル状のまま再吸収されることなく大腸まで到達しますので、便は適度の水分を含み、便のかさを増すようになります。すなわち、腸管内の水分調整と便の硬さの調整という2つの作用があり、下痢にも便秘にも効果が期待できます。
 最近、米国で認可された薬剤に、クロールチャネルに作用するルビプロストンがありますが、女性の便秘型に有効とされております。
 今後は、性別・便通の型別というきめ細かい治療のなされることが予測されます。

(3) 腹部不快感、腹痛
 腹部不快感と腹痛の対策ですが、マレイン酸トリメブチンや三環系抗うつ薬は内臓知覚過敏の改善作用があり、効果が期待できます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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