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<スズケンDIアワー> 平成20年11月6日放送内容より スズケン

男性における下痢型過敏性腸症候群治療薬ラモセトロン塩酸塩


弘前大学保健管理センター 教 授
佐々木 大輔

icon 第2段階の治療戦略

治療ガイドライン第2段階

 第2段階の治療戦略は第1段階の治療を基に、心理・社会的要因を把握して適切な向精神薬を併用することや、簡易精神療法を行うなどです。
 抗不安薬は一時的なストレスにより不安・緊張感が生じた場合や、身体症状がさらに不安を増すといった症例に用いますが、薬物相互作用、依存、離脱症状などの問題もあり、長期間の使用は避けるようにします。抗うつ薬のうち三環系抗うつ薬は、抗うつ作用の他に抗コリン作用もあり、腹痛と便通異常にも効果が期待できます。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)および選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が有効であるとする報告もあります。

icon 第3段階の治療戦略

治療ガイドライン第3段階

 第3段階の治療戦略は主に心療内科医などによる専門的アプローチが中心となりますが、プライマリケアにおいても治療者の経験や技能に応じた対応は十分可能であります。生活習慣・心理面へのアプローチは必ずしも深い専門的知識を必要とするものではありません。大切なことは良好な患者―治療者関係の確立とストレス対策です。
 患者さんに日誌を記載させることでセルフモニタリング(自己観察)を習慣つけてもらうのがよいでしょう。日誌の具体的内容は(1)主な症状の程度・排便回数・便形状 (2)食事内容 (3)服薬状況 その日の気分 (4)ストレスの有無など。さらに、ストレスがあるときには(1)ストレスの徴候や原因 (2)ストレスに対し浮かんだ考え(前向きか・否定的な考え方ばかりしていないかを評価)(3)感じたストレスに対しとった対策(対処行動)などを書くようにします。セルフモニタリングによって、食事習慣やストレスと症状の関連、生活の場での問題、自分の考え方のパターンなどが明らかになり、各自が自分に有効なストレス対策を身につけ習慣化するための良い資料が得られます。
 IBSは生命に対する予後は良好で、長期間追跡した調査でIBSと診断された後に他疾患が見いだされたのは5%にすぎません。一般にIBSは長期にわたり症状の寛解、増悪を繰り返しますので、患者さんの症状が不変でも、患者が症状をセルフコントロ−ルし、社会的適応能を身につけていれば問題はないと言えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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