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<スズケンDIアワー> 平成20年12月18日放送内容より スズケン

アレルギー性鼻炎点鼻治療薬 モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物


北里研究所病院 耳鼻咽喉科部長
橋口 一弘

icon はじめに

 アレルギー性鼻炎治療薬として開発されたモメタゾン点鼻液(商品名ナゾネックス点鼻液)は国内初の1日1回投与の鼻噴霧用ステロイド薬です。グルココルチコイド受容体に対する親和性が高く、強い局所抗炎症作用を示すためアレルギー性鼻炎に対する効果が強く、また全身吸収性が極めて低いことから安全性が高い薬剤であると考えられております。欧米では10年以上前から臨床において使用されてきており、2008年4月現在では世界109カ国で承認されている薬剤であります。本邦では2008年7月にアレルギー性鼻炎を適応症として承認されました。
 まず本剤について解説する前にアレルギー性鼻炎発症のメカニズムと治療方針についてお話しします。

icon アレルギー性鼻炎の発症機序と病型分類

 アレルギー性鼻炎はIgE抗体が関与するI型アレルギー反応に伴うアレルギー性炎症疾患です。本疾患の原因抗原の大部分は吸入抗原であり、ハウスダストやヒョウヒダニなどを主な抗原とする通年性アレルギー性鼻炎とスギ花粉やカモガヤ花粉、ブタクサ花粉などの花粉抗原が原因である季節性アレルギー性鼻炎、いわゆる花粉症に分けられます。
 さて、アレルギー性鼻炎の発症機序ですが、抗原特異的IgE抗体が、鼻粘膜に分布する肥満細胞などの好塩基性細胞上のIgE受容体に固着することにより抗原に対する感作が成立します。その後抗原に再曝露されることにより、鼻粘膜表層に分布する肥満細胞表面のIgE抗体と結合し、その結果鼻炎症状を発現します。すなわち抗原がIgE抗体と結合し、抗原抗体反応の結果肥満細胞からヒスタミンが放出され、即時型反応と呼ばれる鼻粘膜の知覚神経を刺激し、三叉神経を介した神経反射であるくしゃみ発作や、副交感神経の興奮による鼻汁分泌が盛んになります。また肥満細胞からケミカルメディエーターが産生・放出され鼻粘膜血管に直接作用し鼻閉の症状が発現します。また二次的に炎症性細胞浸潤がおき、これらの細胞から産生されたロイコトリエンなどの作用により、遅発性反応としての鼻閉が再びみられます。
 これらの鼻症状の発現状況により病型分類がなされていますが、くしゃみ、鼻汁が主たる症状である“くしゃみ・鼻漏型”、鼻閉が主たる症状である“鼻閉型”、その両者の発現程度がほぼ同程度である“充全型”に分類されており、くしゃみの発作回数や鼻をかむ回数、鼻閉による程度の組み合わせにより重症度が決められています。

icon アレルギー性鼻炎の治療

 治療は重症度と病型の組み合わせによって選択していきますが、これについては鼻アレルギー診療ガイドライン2009年度版では、通年性アレルギー性鼻炎と花粉症それぞれについて治療方針が詳しく記載されております。

重症度に応じた花粉症に対する治療法の選択2009年版

 さて、アレルギー性鼻炎治療薬ですが、これには第二世代抗ヒスタミン薬、ケメミカルメディエーター遊離抑制剤、抗ロイコトリエン薬、などの内服薬と鼻噴霧用ステロイド薬があります。この中で現在多用されているのは第二世代抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬です。
 鼻噴霧用ステロイド薬の一般的な特徴として、効果が強く、効果発現が早いこと、アレルギー性鼻炎の3主症状に等しく効果があり、一方全身的な副作用が少ないことが挙げられております。
 ここでは国民の約26%という高い有病率を示すスギ花粉症の治療方針について取り上げてみたいと思います。鼻アレルギーガイドラインによりますと、花粉症の軽症例では経口薬から開始し、症状増悪時に鼻噴霧用ステロイド薬を併用することになっています。中等症のうち、くしゃみ・鼻漏型では、内服薬と鼻噴霧用ステロイド薬の併用で、鼻閉型、充全型には抗ロイコトリエン薬と鼻噴霧用ステロイド薬の併用が推薦されています。さらに重症では病型にかかわらず鼻噴霧用ステロイド薬が第一選択薬となっており、症状が重篤になるにつれて鼻噴霧用ステロイド薬の使用が必要になってきます。特に花粉症のように花粉飛散数が多くなると重症化しやすいアレルギー性炎症では、早期から鼻噴霧ステロイド薬を使用し、症状の抑制を図ることが大事であると思われます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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