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<スズケンDIアワー> 平成21年1月15日放送内容より スズケン

DI実例集(162)ICUにおける薬剤師の活動


神戸大学附属病院薬剤部 薬品管理室長
山下 和彦

icon カンファレンスへの参加

医師回診、カンファレンスへの参加

 医療スタッフとの関わり方としては、医療チームの一員として、治療方針の確認、すなわち、患者様の病態や薬剤の投与予定に関する情報を医師の回診ならびにカンファレンスに参加し共有するように努めています。情報の共有化を行うことで、よりきめ細やかな処方監査が可能となると同時に、医師、看護師とのコミュニケーションが円滑となりました。医師・看護師と接する機会が増加したことで、信頼関係がより強固になったと感じています。
 実際に、医師・看護師からの問い合わせや相談は非常に多くなっています。問い合わせ内容は様々で、回答に必要な情報は、添付文書や一般的な専門書のほか、医薬品メーカーへの問い合わせ、インターネットでの邦文、英文の文献検索など非常に多岐にわたります。

医薬品情報提供

 問い合わせ内容については、ICUでは注射薬が主に使用されるので、注射薬の配合変化や安定性に関する質問が最も多くなっております。また、腎機能、肝機能が低下した患者さまが多いこともあり、用法・用量に関する問い合わせも多くなっています。特徴的な相談内容としては、医師からTDMや処方の投与設計についても頻繁に相談をうけるようになりました。TDM(therapyeutic drug monitoring)とは、「治療薬の血中濃度を測定し、その結果をもとに、より適切な投与量・投与方法を決定すること」であります。ICUでは特に、バンコマイシンを始めとした抗菌薬の投与設計を依頼されることが多くあります。腎機能の低下した患者、たとえば透析患者の場合には、腎臓から排泄される薬剤の場合には、投与量を減量しなければなりません。一方で、投与量を少なくしていた場合で腎機能が回復した場合には、投与量を増やさなければなりません。前者では、副作用が出現する可能性が高まりますし、後者では折角の治療薬がその効果を発揮しないことになりかねません。このように投与量調節に難渋するケースにおけるTDMに薬剤師が関与することは非常に重要と考えています。
 当院では、従来からTDMの血中濃度測定はすべて薬剤部で行っており、測定部署と連携を取りながら、ICU担当の薬剤師が医師へ処方提案を行っています。ICUに常駐することで、医師、看護師との連携が取りやすくなり治療に関するさまざまな問題解決に薬剤師が重要な役割を果たしていると考えています。

icon 薬剤管理指導について

 最後に、今後のICUでの薬剤師の活動の展望として、薬学的な管理に重点を置いた薬剤管理指導の推進を図りたいと考えています。

薬剤管理指導

 薬剤管理指導とは、従来服薬指導といわれてきた部分ですが、ICUにおいては、特に投与量、投与方法、薬物相互作用や副作用チェックなど、薬学的管理の面で強く関与することが求められています。平成20年度の診療報酬改定では、救命救急入院料等を算定している患者様で意識障害等の状態にあり直接服薬指導ができないケースでも薬学的管理指導により算定できることが示されました。ICUでは、現在システムを導入準備中ですが、すでに一般病棟では医師・看護師が電子カルテ上薬剤師の指導内容をいつでも確認できるようになっています。今後は、ICUにおいても運用面での検討を重ね、医療の質と安全の向上という目標のもと、薬剤師がより密接に治療に携わっていけるように努めたいと考えています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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