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<スズケンDIアワー> 平成21年2月5日放送内容より スズケン

新生児けいれん治療薬静注用フェノバルビタールナトリウム タフルプロスト


香川大学小児科 教授
伊藤 進

icon 医師主導治験の実施

 この結果、添加物を含有しない静注用製剤の開発しかないとの結論に至りました。
 しかし、使用量が少なく、使用頻度も低く、しかも採算性のとれない医薬品に対して製薬企業は見向きもしていただけません。

表4

 そのため、2003年8月より開始された医師主導治験で行うことを決めました。この治験の枠組みの中でも、治験薬提供企業は必要です。幸いにもノーベルファーマ株式会社が、提供していただけることになり、この事業に応募する運びとなりました。2004年度の厚生労働科学研究費補助金による治験推進事業に採択され、課題名「静注用フェノバルビタールの新生児けいれんに対する有効性・安全性に関する研究」で実施することになりました。同年度に、日本小児科学会より要望書が出され、本剤のオーファン指定や早期開発の促進等についての要請を厚生労働大臣宛に行いました。その後、優先対面助言品目指定がなされ、2005年3月23日に治験相談、同年3月24日に希少疾病用医薬品の指定がなされました。日本医師会治験促進センターの全面協力のもとに、第III相医師主導治験として、「静注用フェノバルビタールの新生児けいれんに対する有効性と安全性を検討する。併せて本治験薬の血中濃度と有効性・安全性の関係も検討する」を目的とし、多施設共同非盲検非対照試験で2006年3月24日から2007年3月9日まで8施設で治験を行いました。2007年7月4日に医薬品申請前の治験相談が本薬の新生児けいれん及びてんかん重積状態の適応取得についてなされ、2008年10月承認、12月に発売に至りました。てんかん重積状態の適応取得に関しては、エビデンスに基づいた104号通知による適応取得ですので少し説明いたします。

これは、
1) 外国での承認申請データが入手できる場合
2) 国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された科学的根拠となり得る論文がある場合
3) 公的研究等その実施に係る倫理性、科学性および信頼性が確認し得る臨床試験成績がある場合に、臨床試験の全部又は一部を新たに実施することなく承認の可否の判断が可能であること
とされています。

icon 治療上の留意点

 治療上の注意点についてお話します。
 ノーベルバール静注用250mgは、日本初のフェノバルビタール静注用製剤です。効能・効果は新生児けいれんとてんかん重積状態です。効能・効果に関連する注意として、「本剤は、作用発現が遅く、長時間作用型に関することから、てんかん重責状態の患者では、速効性の薬剤を第一選択とし、本剤は第二選択以降に使用することが望ましい」となっています。新生児けいれんの病名については、まだ議論の多いところですが、簡単に説明します。けいれんは、新生児期に生涯を通じ最も生じやすく、特に生後2、3日以内に発現します。
 臨床的に新生児けいれんは、年長児や成人のそれと異なった特徴をもち、国際てんかん分類では、「新生児けいれん」として分類され、通常のてんかんと区別されています。この相違は、新生児の中枢神経系の未熟性に起因すると考えられ、年長児又は成人に良く見られる強直性間代発作はまれで、局所性の微細な発作が主体です。新生児けいれんの発作型は、微細発作、間代性発作、強直性発作およびミオクローヌス発作の4型に分類されます。その中でも微細型は正期産児で54%、早産児で48%を占めます。新生児けいれんの原因として、仮死にともなう低酸素性虚血性脳症、中枢神経の感染症、頭蓋内出血、脳梗塞、低血糖症を含む代謝異常症などがあげられます。その内、低酸素性虚血性脳症が約半数を占めます。新生児けいれんの予後は、原因疾患に依存します。
 用法・用量は、新生児けいれんに対しては、初回投与量としてフェノバルビタール20mg/kgを静脈内投与する。けいれんがコントロールできない場合は、患者の状態に応じ、初回投与量を超えない範囲で用量を調整し、静脈内に追加投与する。維持投与はフェノバルビタール2.5から5mg/kgを1日1回静脈内投与する。投与方法の注意として、5から10分かけて緩徐に投与すること。ただし、患者の状態に応じ、より緩徐に投与すること。また、追加投与を行う際には、患者の状態を観察し、初回投与から十分な間隔をあけた上で実施することです。
 てんかん重積状態に対しては、フェノバルビタールとして、15から20mg/kgを1日1回静脈内投与する。投与方法の注意事項として、小児及び成人では、10分以上かけて緩徐に投与すること。ただし、100mg/分の投与速度を超えないことです。
 両者の注意事項として、意識障害、血圧低下、呼吸抑制があらわれることがありますので、用量調節を適切に行うために、本剤の血中濃度を測定することが望ましい。また、呼吸抑制があらわれた場合には、直に人工呼吸など適切な処置を行うことです。
 血中濃度に関しては、新生児けいれんの場合も治療域血中濃度を15から40mg/Lと設定し、投与量は血中フェノバルビタール濃度を考慮して、血中濃度が40mg/Lを越えないように決めました。つまり、新生児期におけるフェノバルビタールの見かけの分布容積は、約1L/kgですのでフェノバルビタールとして1mg/kgの投与をしますと血中濃度は約1mg/L上昇します。それを参考に投与量を設定します。

 最後に、本剤は国の費用を使用し、製薬企業及び多くの方々の協力を得て非常に忙しい新生児科医の皆様により開発された薬剤です。本剤が適切に、有効に使用され、育てられることを切に望みます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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