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<スズケンDIアワー> 平成21年2月12日放送内容より スズケン

女性ホルモン貼付剤エストラジオール・酢酸ノルエチステロン配合剤


東京歯科大学市川総合病院産婦人科 教授
松 潔

icon 閉経とエストロゲンの欠乏

 日本人女性の平均寿命は次第に延長し、現在85.99歳と報告されています。閉経年齢の中央値は50.54歳ですから、現代の日本人女性は人生の3分の1以上を閉経後として暮らすことになります。そのため、老年期のQOLの維持・向上のためには閉経の時期からの健康管理が重要になります。

エストロゲン欠乏に伴い出現する主な疾患・病態

 閉経、つまり卵巣機能の低下により永久に月経が停止した状態は女性ホルモンであるエストロゲンの低下を伴います。エストロゲンの受容体は女性のからだのあらゆる部分に存在することからエストロゲンは女性のからだを護っていると考えられており、閉経に伴うエストロゲンの欠乏は更年期障害、脂質異常症、骨粗鬆症などといった退行期疾患を招くことが知られています。特に更年期障害はhot flashと呼ばれるのぼせやほてり・発汗・抑うつ・不眠などといった症状により日常生活に支障をきたす症候群です。正確な統計はないものの45歳から60歳という年代の50%〜80%が症状を訴えると言われており、QOLを阻害する大きな要因の一つですが、これに対しては、低下したホルモンを補充する治療法であるホルモン補充療法(HRT)が欧米では40年以上前から、日本でも1990年代前半より頻用されてきました。
 HRTは理論上からも、理に適ったたいへん有効な治療法です。
 しかし、米国における大規模臨床試験であるWomen's Health Initiative (WHI)におけるHRT試験において、乳癌リスク上昇の問題から、2002年に試験が途中中止となって以来、「HRTは本当に有効なのか?」「乳癌を含めてHRTは安全なのか?」という疑問と不安があり、HRTの価値と安全性には疑問符が付いた状態でした。

icon HRTの再評価

 ところが、ここ2年ほどの各種データのサブ解析や再検討から、60歳未満あるいは閉経後10年未満といった閉経後早期に開始されたHRTは有効かつ安全であり、特に乳癌については5年未満であれば少なくともリスクが上昇することはないとの世界的なコンセンサスが得られるようになり、これに伴い、再びHRTが見直されるようになってきました。これを受けて、わが国でも日本産科婦人科学会と日本更年期医学会とが協力してHRTガイドラインが策定されました。
 加えてここ数年、HRTに使用できる新規薬剤が、日本においても臨床に導入されてきました。エストロゲン製剤には経口剤と経皮吸収剤として貼るタイプの貼付剤と塗るタイプのゲル剤があります。わが国では経口剤として結合型エストロゲンであるプレマリンが主として用いられてきましたが、1995年より経皮エストラジオール貼付剤が、また、2007年からは経皮エストラジオールゲル剤が、2008年からは経口エストラジオール製剤が使用できるようになっています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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