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<スズケンDIアワー> 平成21年2月19日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(25)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 前回の放送でお伝えした品目以降に薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。

icon イリボー錠とグラセプターカプセルの薬価算定根拠

 はじめは、イリボー錠です。有効成分は、ラモセトロン塩酸塩でアステラス製薬の開発です。

イリボー錠の薬価算定表

 ラモセトロン塩酸塩は、セロトニン5HT3受容体拮抗作用を有し、「男性における下痢型過敏性腸症候群」を効能・効果とします。効能・効果が類似するポリカルボフィルカルシウムの製剤であるアステラス製薬のコロネル錠およびアボットジャパンのポリフル錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(1)で算定が行われました。比較薬は消化器管内の水分を吸収・保持して効果を示すのに対して、本剤は、セトロニン5HT3受容体に作用し、大腸運動の亢進と大腸痛覚の過敏状態を改善することで効果を示すことから、臨床上有用な新規作用機序を有すると判断され、有用性加算(II)が適用されました。ただし、その臨床効果は一定程度であることを考慮し評価は限定的なものとされました。
 次は、グラセプターカプセルです。有効成分は、タクロリムス水和物でアステラス製薬の開発です。

グラセプターの薬価算定表

 タクロリムス水和物は、G0G1移行期に作用してT細胞の分化・増殖を抑制することを主とする免疫抑制作用を有し、「腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植における拒絶反応の抑制および骨髄移植における拒絶反応および移植片対宿主病の抑制」を効能・効果とします。すでに発売されている同一成分の製品が移植領域においては1日2回投与であったのに対し、本剤は1日1回投与を可能にしたものです。したがって薬価は既存のプログラフカプセルを比較対照薬に規格間調整による算定が行われました。

icon ミコブティンカプセルとアトワゴリバース静注シリンジの薬価算定根拠

 次は、ミコブティンカプセルです。有効成分は、リファブチンでファイザーの開発です。

ミコプティンカプセルの薬価算定表

 リファブチンはRNA合成阻害作用(リファンピシン耐性結核菌のDNAへのチミジン取り込み阻害作用)を有し、「本剤に感性のマイコバクテリウム属」を適応菌種に「結核症、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症、HIV感染患者における播種性MAC症の発症抑制」を適応症とします。同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により算定が行われました。本剤の営業利益率の算出にあたっては、本剤は、多剤耐性結核症に一定の有効性が期待できる点、また多くの抗HIV薬と併用禁忌である既存治療薬のリファンピシンにかわって、HIV感染合併患者への投与が可能である点において、治療薬の選択に非常な困難があった既存の治療方法を改善するものと判断されました。ただし、国内で治験が実施されておらず、日本人における安全性情報が不足していることから限定的な評価とし、平均的な営業利益率プラス10%の営業利益率、すなわち21.1%を用いることとされました。
 次は、アトワゴリバース静注シリンジです。有効成分は、ネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩水和物の配合剤でテルモの開発です。

アトワゴリバースの薬価算定表

 ネオスチグミンメチル硫酸塩はコリンエステラーゼ阻害作用を、またアトロピン硫酸塩水和物はムスカリン受容体拮抗作用を有し、「非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗」を効能・効果とします。本剤はネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩水和物の配合剤であることからこれら2つの有効成分を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。具体的には、ネオスチグミンメチル硫酸塩の製剤である塩野義製薬のワゴスチグミン注とアトロピン硫酸塩水和物の製剤である田辺三菱製薬のアトロピン硫酸塩注の薬価を合計して規格間調整により算定されています。本剤は、市場規模が小さい自律神経剤に該当することを踏まえ、市場性加算(II)が適用されました。なお本剤はキット製品であることからキットの特徴部分の原材料費が加えられています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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