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<スズケンDIアワー> 平成21年3月26日放送内容より スズケン

高血圧治療用配合剤 バルサルタン・ヒドロクロロチアジド


手稲渓仁会病院総合内科 部長
浦 信行

icon 降圧薬治療の動向

 サイアザイド系利尿薬の市場への登場から40年以上が経過し、その確実な降圧作用のため1980年代までは頻用されました。また、利尿薬による降圧作用の有用性は、本剤の心血管疾患発症抑制効果を検討した多くの臨床試験により証明されています。従って、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2009年版 (JSH2009) でも第一選択薬の一つとなっていますが、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、Ca拮抗薬(CCB)の3剤に比較して使用頻度は低値にとどまります。各種の代謝系への副作用が理由の一つで、とりわけ糖尿病合併例では、糖代謝に対する影響がありうることから回避される傾向に有ります。しかし、少量投与であればその頻度は多くないことも判っています。一方、一番新しいクラスの降圧薬であるARBは確実な降圧作用にくわえ、副作用の少なさから、わが国では急激に使用頻度が増加しています。また、ARBは強力な降圧作用をもたらすだけでなく、脳・心臓・腎臓の3大臓器に対して、降圧作用とは独立した臓器保護作用があり、最近では心房細動の発症抑制効果もあることが判っています。また、糖代謝に対しては悪影響を及ぼさないだけではなく、むしろインスリン感受性を改善して糖尿病の新規発症抑制効果をもたらすことが知られています。したがって、JSH2009ではARBは3大臓器合併症を持つ高血圧に対してだけでなく、糖尿病合併例やメタボリックシンドロームを合併した例に対しても積極的適応になっています。また、肥満者や脂質異常症合併の高血圧の薬物療法にも推奨されています。このように、強力な降圧効果と多くの利点を持つARBでも単剤の降圧目標達成率は3割前後に留まるのが実情です。降圧薬の臓器障害抑制効果の大部分は、その種類よりも降圧度が主に規定する、すなわち、血圧を下げれば下げるほど臓器保護効果が大きくなることから、JSH2009では以前にもまして血圧管理の重要性が指摘され、心血管合併症の発症予防には厳密な血圧管理が再度強調されています。更に、慢性腎臓病(CKD)や糖尿病合併高血圧例だけでなく、心筋梗塞後の高血圧例でも降圧目標は130/80mmHgと、より低値の管理が推奨されるようになりました。先にも述べましたが降圧薬単剤での降圧目標達成率は2-3割に留まることから、多くの場合降圧薬の併用が必要になってきます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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