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<スズケンDIアワー> 平成21年3月26日放送内容より スズケン

高血圧治療用配合剤 バルサルタン・ヒドロクロロチアジド


手稲渓仁会病院総合内科 部長
浦 信行

icon 配合剤による服薬継続率の改善

 高血圧の症例は、最近は他の生活習慣病の合併例が多く、メタボリックシンドロームはその代表的なものです。各々の疾患に対しての薬物療法が必要になると、投与薬剤数が増加します。そこで問題となるのは服薬コンプライアンスの問題です。JSH2009ではコンプライアンスと言う言葉ではなく、治療継続を意味するアドヒランスと言う言葉を用いていますが、合剤はアドヒランス改善効果を示します。ACE阻害薬であるリジノプリルとHCTZの2剤投与では服薬継続率は時間と共に低下し、12ヶ月後には60%を下回るようになりました。一方、リジノプリルとHCTZの合剤は時間の経過と共にアドヒランスは悪くなりますが、しかし12ヵ月後でも約70%を維持していました。 同様の報告はほかにも見られます。何れも配合剤の方がアドヒランスが良く、配合剤の使用は高血圧患者の降圧薬のアドヒランス改善に有用です。私も、定期受診される高血圧の患者様に処方を継続する場合、今回はあまっているので必要有りませんなどといわれることが、時々ありますが、それは投薬数が多い場合に顕著です。

icon 服薬アドヒランスと降圧効果の関係

服薬アドヒランスと血圧コントロール

 この服薬のアドヒランスの改善は、当然のことながら降圧効果の改善をもたらします。すなわち、同じ処方内容であっても、アドヒランスの良い例は時々服薬を忘れる例より血圧は有意に低く保たれます。

服薬アドヒランスと降圧目標達成率の関係

 アドヒランスの良好例は、アドヒランス不良例より降圧目標達成率が明らかに良いということも報告されています。このことは高血圧患者の管理上非常に大きな意義があります。高血圧治療の目標は、良好な血圧管理をすることによって、各種臓器障害の発症や進展を抑制し、心血管疾患の合併を防いで患者様のADLやQOLの低下を防ぎ、生命予後を改善することにあります。降圧薬のアドヒランスと入院リスクの関連を検討した報告においてもアドヒランスレベルが高ければ高いほど入院リスクは低下することが明らかでした。配合剤は服薬のアドヒランスを向上するという観点からは、極めて好ましい剤型です。また、降圧薬の組み合わせとしても、JSH2009の推奨するARBと利尿薬は確かに相乗的で顕著な降圧効果をもたらし、利尿薬の代謝面での副作用を、ARBが相補的に補ってくれるという、極めて好ましいものです。バルサルタンはJIKEI HEART Studyという、日本人3,000人余りを対象とした大規模臨床研究の結果を持っています。この治療研究ではバルサルタン群と対照群の従来治療薬群の血圧に差はなく、両群何れも優れた降圧効果を示しました。そして、1次エンドポイントとしての心血管複合エンドポイントはバルサルタンが有意に勝っており、従来治療薬群に比較して39%多くイベント発生を抑制しました。また、2次エンドポイントとしての脳卒中の発症、狭心症による入院、心不全による入院、解離性大動脈瘤の発症の何れもが、バルサルタン群で有意に少ないとの結果でした。大規模臨床試験の成績に関しては人種差などの背景の違いから欧米のものとわが国のものとで結果に違いが生じることがあり、その意味からもわが国でのエビデンスを持っているということは重要なことです。このように、わが国で高い評価を受け、現在最も使用頻度の高いARBであるバルサルタンと、これも各種の大規模臨床試験のエビデンスを有する利尿薬であるHCTZの合剤は非常に有用性の高い薬剤となると考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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