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<スズケンDIアワー> 平成21年4月2日放送内容より スズケン

加齢黄斑変性症ラニビズマブ


日本大学眼科 教授
湯澤 美都子

icon 加齢黄斑変性症の病像

 厚生労働省特定疾患網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班の診断の手引きによると、加齢黄斑変性(Age-related macular degeneration:AMD)は50歳以上で、中心窩を中心に半径3000μmの範囲にみとめる加齢に伴う黄斑異常と定義されており、滲出型と萎縮型に大別されます。
 滲出型には脈絡膜新生血管(Choroidal neovascularization:CNV)に基づく病変と、CNVを伴わない1乳頭径以上の網膜色素上皮剥離が含まれます。滲出型の大半はCNVに基づくものです。CNVは脈絡膜から色素上皮下ついで感覚網膜下に発育し、出血や滲出をきたします。CNVが中心窩下にある場合、近年わが国では視力維持が得られる治療法として光線力学療法が定着しています。最近、滲出型AMDの中心窩CNVに対して2種の抗血管新生薬が承認されました。その1つがラニビズマブ(ranibizumab、商品名ルセンティス0.5mg)です。本日はラニビズマブの奏効機序、欧米とわが国で行なわれた臨床治療研究の結果、投与法、問題点について述べさせていただきます。

icon ラニビズマブの概要

 CNVの発育には血管内皮増殖因子(Vascular endotheliar growth factor:VEGF)が関与しています。VEGFは血管内皮細胞の受容体に結合し、内皮細胞の増殖、遊走、管腔形成を促進します。VEGF-Aには5種類のアイソフォームがありますが、眼内で発生する主なアイソフォームはVEGF165と121の2つです。(165、121は結合しているアミノ酸の数を示す。)これらのVEGFを抑制する薬の硝子体内投与はCNVの抑制に有効です。
 ラニビズマブはマウス抗VEGF-Aモノクローナル抗体のFab断片、すなわちVEGF抗体の一部分をヒト化したもので、VEGF-Aレセプターに結合するすべてのアイソフォームに結合します。VEGFとの親和性を140倍増強するためにアミノ酸配列を一部変更してあります。また分子量は48kDと小さく、硝子体内投与によって網膜を透過しやすく、網膜下CNVに達しやすくなっています。また半減期が短く、体内からの排泄が早く、全身的な有害事象を起こす可能性は低いと考えられます。すなわち硝子体内に投与されると網膜下に達し、主に網膜色素上皮から出るVEGF121と165をはじめとするVEGF-Aの5種類のアイソフォームに結合し、強い抗VEGF作用を発揮します。

 

提供 : 株式会社スズケン



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