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<スズケンDIアワー> 平成21年4月2日放送内容より スズケン

加齢黄斑変性症ラニビズマブ


日本大学眼科 教授
湯澤 美都子

icon 国内臨床試験

 わが国で行なわれたPredominantly classic CNV、minimally classic CNV、occult CNVのみのすべての病型に対して4週毎に硝子体内投与を行なった76例76眼を対象に行なわれた臨床試験でも15文字未満の視力低下を視力維持とすると、視力維持の割合は0.3mgでは6ヶ月後97%、12ヶ月後も97%、0.5mgでは6ヶ月、12ヶ月とも100%でした。
 また、15文字以上の改善を視力改善とすると、視力改善の割合は0.3mg、0.5mgとも12ヶ月、24ヶ月で約30%でした。平均視力は1年後0.3mgでは9.5文字、0.5mgでは+10.5文字の改善が得られました。国内の臨床試験は12ヶ月を終了したあと希望すれば0.3mgあるいは0.5mgの投与をさらに1年間続けられました。ただし1ヶ月毎に経過を見て、悪化がみられた場合には投与という方式に変更になりました。その結果2年後も1年後の視力は保たれていました。中心窩CNVに対して、視力改善が得られた治療法はこれまでなかったことを考えると、画期的です。

icon ラニビズマブの副作用

 硝子体内に注射をするので、最も注意すべき眼局所の副作用は眼内炎です。硝子体内投与の場合1/1000〜1/2000に眼内炎が起こると報告されていますが、わが国における臨床治療研究ではみとめられませんでした。また一過性の眼圧上昇以外、問題になる眼合併症はほとんどありませんでした。全身的にはラニビズマブはすべてのVEGFを阻害すること、硝子体内注射でもごく少量ではあっても全身に移行することを考えますと、脳血管障害や心筋梗塞の発症の可能性が否定できません。しかし、欧米の臨床治療研究では統計的にはラニビズマブ投与群とシャム群での発症率に有意差は見られませんでした。しかし脳梗塞や心筋梗塞の既往のある人に投与する場合にはriskとbenefitを考える必要があります。

icon ラニビズマブ使用の留意点

 次に、ラニビズマブの使用に際して考えておかなければならない点を3つ述べます。
 第1はラニビズマブの投与時期です。ラニビズマブを4週に1回投与を続けることは視力の観点から理想的ですが、実際的には困難です。そこで最初、1ヶ月毎に計3回のラニビズマブを投与します。視力が3回の投与で急激に改善するからです。4回目以降は改善された視力を維持するために1ヶ月毎に経過観察を行ない、視力検査、眼底検査、必要であればOCTを行ない、ラニビズマブを再投与するか否かを判定します。
 第2はわが国の滲出型AMDでは半分近くを特殊型であるポリープ状脈絡膜血管症(PCV)が占めている点です。PCVは脈絡膜レベルの異常血管網の先端にポリープ状病巣がみられるもので、ポリープ状病巣から出血や滲出を起こします。PCVに対してラニビズマブの有効性を確かめる必要があります。
 第3は光線力学療法とのすみわけです。欧米とは異なり、日本人の滲出型AMDには光線力学療法が有効です。特にPCVでは1年後視力の改善が得られています。そこで視力0.5〜0.1の範囲でPDTのよい適応とされるPCVや小さな病変の場合、どの治療法を選択するかという問題があり、今後の検討が必要です。

 いずれにせよ、私たちは滲出型AMDの中心窩CNVに対して、視力改善の得られるラニビズマブの硝子体内投与という新しい治療法を始めることになりました。それによって、これまで光線力学療法のよい適応にならなかった0.6以上の視力良好例も治療可能になり治療の適応も広がりました。患者さんの視力予後やQOLを改善することが出来ると期待されます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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