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<スズケンDIアワー> 平成21年4月9日放送内容より スズケン

気管支喘息治療用抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブ


帝京大学内科学 教授
大田 健

 本日は、生物製剤として最初に製品化された免疫グロブリンE(IgE)に対するヒト化抗IgE抗体、オマリズマブによる抗IgE療法について、最近の臨床試験の成績、および本療法の将来への展望を中心に、喘息におけるIgEの役割も含めてお話しいたします。
 成人喘息の患者さんでは、その約70%でチリダニに対するIgE抗体が陽性です。これは、アレルギー反応が喘息の重要な病態である気道炎症や喘息症状の発現に重要な役割を演じていることを示唆しています。

icon 喘息におけるIgEの役割

 1966年石坂公成、照子夫妻によりIgEが発見されて以来、それまで混沌としていたアレルギーの研究が、免疫学の進歩とともに飛躍的に進展しました。

抗原とマスト細胞

 これまでの研究から、IgE抗体は、マスト細胞の表面で高親和性のIgE受容体(FcεR1)を介して存在し、該当する抗原と結合することにより、マスト細胞からの化学伝達物質およびサイトカインの産生遊離を惹起することが明らかにされました。またIgE受容体とIgE抗体分子との結合は、IgEのheavy chain(H鎖)の3番目のC domainであるCε3で起こることが明らかになりました。一方、マスト細胞がアレルギー性喘息で重要であることを示す結果は、途絶えることなく報告されています。さらに、非アレルギー性喘息においてもマスト細胞の増加が示され、その組織への出現は、アレルギー性喘息と同様に気道粘膜および平滑筋内に及ぶことが報告され注目されています。

慢性の気道炎症

 ここで喘息の病態についても触れておきたいと思います。喘息の病態で重要な位置をしめる気道炎症の特徴は、(1)気道上皮の剥離、(2)基底膜部の肥厚、(3)好酸球の集簇であり、種々の炎症細胞とサイトカインにより誘導されます。しかも非アレルギー性喘息でも同様の所見を認めています。
 IgE抗体の産生を促進するものには、interleukin-4(IL-4)、IL-6、IL-9、腫瘍壊死因子α(TNF-α)などがあり、抑制するものにはinterferon-α(IFN-α)、IFN-γ、腫瘍化成長因子β(TGF-β)、IL-8、IL-12、IL-18などがあります。また喘息における気道炎症に関与するサイトカインについても解明されつつあり、喘息の治療における分子標的として考えられています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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