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<スズケンDIアワー> 平成21年4月9日放送内容より スズケン

気管支喘息治療用抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブ


帝京大学内科学 教授
大田 健

icon オマリズマブの概要

 それでは本日話題として取り上げておりますヒト化抗IgE抗体、オマリズマブについて話を進めて参ります。
 まずヒト化した抗体とは、遺伝子組換え技術により、標的とする抗原に対して特異的に結合する部位のみを残して、あとはヒトの免疫グロブリンの分子構造に置換した抗体のことです。従って、理論的にはヒトに投与しても異種タンパクとして認識されないのです。

Omalizumab Characteristics

 米国のGenentech社で1991年に作製されたヒト化抗IgE抗体(抗IgE)、オマリズマブは、ヒトIgE抗体がIgE受容体に結合する部位であるheavy chainのCε3に特異性をもつマウス単クローン抗体をベースとして作製されました。遺伝子組換え技術によるヒト化に際しては、マウス由来の抗原特異的な結合部位5%相当のみを残して、あとの95%はヒトのIgG1κの分子構造に置換したものです。

Mechanism of Action of anti-IgE

 抗IgEは、Cε3と結合することにより、IgEがマスト細胞や好塩基球の表面にあるFcεR1に結合することをブロックします。その結果、抗原曝露が起こっても、IgEを介したマスト細胞や好塩基球での一連の反応が阻止されて、アレルギー反応による喘息の症状の発現を抑制するわけです。
 この抗IgEは、すでにマスト細胞や好塩基球に固着しているIgE抗体とは反応しません。したがって、細胞膜上にあるIgE抗体を架橋することにより、アレルギー反応を惹起するという心配はなく、治療上重要な特徴となっています。  受容体に未結合のフリーのIgEとの反応では、IgE-抗IgE免疫複合体が産生されます。免疫複合体は、一般には血清病などを惹起するので悪玉と考えられますが、IgE-抗IgE複合体は少量で可溶性であり、補体結合能がなく、炎症や血清病を惹起しません。しかもアレルギーの原因抗原であるアレルゲンを捕捉することで、アレルゲンがマスト細胞に固着したIgEと反応するのを阻害します。IgEの半減期は1〜2日ですが、複合体の半減期は約14日であり、抗IgEの効果は持続します。抗IgEとの結合によりフリーのIgEが減少し、高親和性IgE受容体(FcεR1)の発現が抑制されることも分かりました。これは、抗IgEの効果の中では一番早く出現します。例えば、末梢血好塩基球表面のFcεR1では、抗IgE投与後3日で50%抑制され、90日目には細胞当たり約20万個から8千個へと約93%の減少を示すと報告されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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