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<スズケンDIアワー> 平成21年4月9日放送内容より スズケン

気管支喘息治療用抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブ


帝京大学内科学 教授
大田 健

icon 抗IgEの臨床効果

 抗IgEは、欧米および日本では臨床試験が終了し、欧米諸国ではすでに喘息治療薬として発売されています。
 喘息への効果をみるために、まず抗原誘発による即時型および遅発型喘息反応について抗IgE療法の効果が検討されました。19例の軽症アレルギー性喘息を対象にした無作為二重盲検試験では、抗IgEを週1回0.5mg/kgを8週間にわたり経静脈投与しました。その結果、抗IgE投与群では、抗原吸入後の即時型および遅発型喘息反応が有意に抑制されました。
 次いで欧米で実施された第V相試験では、製品化されたものと同様に、抗IgEは皮下注射で投与され、投与量は150-750mgの範囲で体重と血清IgEにより決定されました。吸入ステロイドのベクロメタゾン(BDP)を減量しながら、抗IgEの投与量に応じて、2週あるいは4週毎に28週間投与し、喘息症状の悪化頻度を主要評価項目として検討しました。中等症と重症のアレルギー性喘息患者を対象に、同一のプロトコールに従って治験が実施され、米国では525例中257例に、欧州では546例中272例に抗IgEが投与されました。その結果、抗IgE投与群では、発作回数、β2刺激薬の頓用回数、吸入ステロイドの用量いずれもが減少し、有効と評価できる結果が得られました。また、副作用として重篤なものはなく、その頻度はプラセボ群と同等で、その安全性に問題を認めませんでした。

icon 抗IgEによる喘息治療の位置付け

 抗IgE療法の有効性は明らかになりました。しかし、ヒト化抗IgE抗体が高価であることから、医療経済の観点からも投与の適応が検討されました。

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 そして、先述の欧米での第V相臨床試験の対象となった中等症および重症のアレルギー性喘息症例1412例がメタ解析されました。その結果、主要評価項目である発作回数は、呼吸機能でFEV1.0が予測値の60%以下の群で著明で有意な減少を示しました。さらに喘息のハイリスクグループとして、前年度に入院歴、ICU入院歴、最低1回の救急受診歴がある、あるいは過去に挿管されたことがある症例254例を抽出して解析しました。この中で抗IgEを投与されたものが、135例、プラセボ投与群が119例でした。その結果、ハイリスクグループでは、抗IgEの投与により発作回数が減少し、朝のピークフロー、喘息症状点数、QOLについても、症例全体での解析よりもさらに有意に改善しました。

治療ステップ

 すなわち、抗IgE療法は、ハイリスクグループに属する重症の患者群で有用であることが示唆され、国際ガイドラインGINAの2006年版(GINA2006)では最も強力な段階の治療(治療ステップ5)とされています。具体的なイメージとしては、高用量吸入ステロイドと長時間作用性β2刺激薬、テオフィリン徐放性製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬の併用というステップ4の治療内容でコントロールできない症例で吸入性抗原に対するIgE抗体が陽性である場合に選択することになると思います。

 ヒト化抗IgE抗体療法で実現した生物製剤による治療は、喘息をはじめとするアレルギー疾患の病態メカニズムの解明に基づいた根本治療として、今後さらに発展が期待されると考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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