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<スズケンDIアワー> 平成21年5月28日放送内容より スズケン

高血圧治療用配合剤カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド


愛媛大学病態情報内科学 教授
檜垣 實男

icon ARBに併用する利尿薬

 ARBに併用する利尿薬についてお話を致します。そもそも高血圧の成因には食塩の過剰摂取が強くかかわっています。世界の民族の集団の食塩摂取量と血圧の関係を調査したインターソルト研究でも、食塩摂取量が増えるほど血圧が上昇することが報告されていますし、逆に食塩摂取量が少ないほど血圧が下降することが知られています。特に3g/dayの食塩しか摂らないケニアのマサイ族の血圧は低いのですが、彼らはとても元気です。もともと人類の体は外から食塩を取らないでも生きてゆけるように作られているのです。その意味で高血圧は食塩中毒症の状態であると言えます。一方、食塩は血圧とは独立して血管を傷害する活性酸化物として働く、心血管毒でもあることが報告されています。すなわち食塩は高血圧の発症を介して心血管を傷害するとともに、直接の心血管毒としても臓器障害を引き起こすことが明らかになりました。さらに深刻なことに、われわれ日本人は世界の先進工業国の中でも食塩摂取量が多く、11〜12g/dayの食塩を摂取しています。また日本人は私たちが行った遺伝子調査でも体内に食塩を貯留させやすい体質であることが分かっています。さらに最近増加している、肥満、メタボリックシンドロームや糖尿病、CKDでは食塩感受性の高血圧であることも報告されています。また日本人に多い低または正レニン性の高血圧、夜間に血圧が低下しないノンディッパー、夜間の高血圧が朝に引き継がれる早朝高血圧などでも食塩感受性が強く認められていることから、われわれ現代の日本人こそ利尿薬を用いて食塩の体外への排出を行わねばならないということがわかります。ところで降圧薬として用いられるサイアザイド系利尿薬ですが、もともと降圧力はマイルドであることから、つい使用量を増やさざるを得ず、低K血症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの代謝性副作用になやまされたご経験のある先生方も多いのではないかと思います。今回、代謝性副作用が現れない少量の利尿薬をARBと組み合わせることで、降圧力を相乗作用で強め、代謝性副作用を相殺するというアイデアが注目されました。この考え方は1980年代にコーネル大学のララー教授によって提唱されたVasoconstriction-Volume仮説、いわば血管収縮―体液量バランス仮説に基づくものです。
 今回、上市されたカンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジドは、ARBの中でも強力な降圧力に加えて代謝改善作用を持つカンデサルタン・シレキセチルの4mg、8mgに、最少容量の1/4量というヒドロクロロチアジド6.25mgを組み合わせて誕生した配合剤です。降圧力を最大限まで引き出し、加えて、代謝性副作用の発現を抑えることに成功した鍵は、まさに強力なARBであるカンデサルタン・シレキセチルであるからこそ成功したのであると思います。開発時のデータでもHDで降圧目標達成率は64.2%と優れた降圧効果が示されています。
 さて、厳格な降圧療法を目指す上では、降圧薬が強力であるばかりでは不十分であることも分かってきました。患者さんがご自分の高血圧をよく理解された上で、服薬を継続する、いわばアドヒアランスの重要性も注目されています。合剤はアドヒアランスを改善して降圧目標達成率を向上することが報告されています。強力なARBカンデサルタン・シレキセチルに最少量6.25mgのヒドロクロロチアジドを組み合わせたこの絶妙な配合剤をご処方に加えることで、先生方が行われている質の高い高血圧治療がより充実するのではないでしょうか。

 

提供 : 株式会社スズケン



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